好きです、野崎くん!
□第三話:忍☆JAPAN陰謀事件
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「首領〜。この服動きにくいよ〜。」
そう文句を言う双子の兄の隣を、聡明さんを弄りながら歩く。
動きにくいって言うけどはるにーにの格好は着流し。
姫姿の僕と比べれば大分軽いと思う。
「園内は洋装禁止であろー。忍☆JAPANに来たいと言ったのは自分であろー。文句言うな。」
「はーい。」
渋々返事をしたのは不満たらたらな僕の心の声が聞こえたからだろう。
僕達がいるのは忍☆JAPANの中の野羊城。
この忍☆JAPANは表向きは親日家な首領らしく忍になりきって遊べるテーマパークだけど、実はヴァレンティーノファミリーの暗殺部隊と諜報部隊の訓練所になっている。
僕は結構気に入ってるんだ。
この重い格好以外。
ていうか洋装禁止って言ってる首領は和装じゃないよね。
「またお前達か。」
忍姿の女性、暗殺部隊長のガブリエラさん。
確かなっちゃんも同じような格好をしていた。
「慣れ合いも程々にしろ。ロレンツォから依頼が来る。」
僕はともかく、はるにーにを暗殺しようなんて良い度胸だよね、あの袋。
まぁ、首領が好き過ぎるだけで悪い人じゃないんだろうけど、個人的に目が見えなくて苦手。
「お主の手足もガブリエラにしごいて貰えば良かろー。猫バカの一般人には勝てるようになろー。」
「む。僕の手足を馬鹿にしないでよ。」
ひろにーにのとこの助手は何気に強いよね。
特に優ちゃん。
「あ。弥太だ。」
肌に当たる風から察して僕が呟くと同時に、弥太が音も無く首領の隣に現れた。
「音も無く現れたぞ、本職か!?」
「サイン!サインプリーズ!」
「主張のなさが達人並みだね。」
聡明さんを持ち上げて弥太をなでなでさせるとかなり喜んだ。
単純な子だなぁ。
弥太がはるにーにに報告中ガブリエラさんが此方を見ていたので微笑むと顔を逸らされた。
いくら何でも傷つくんだけど。
「首領、にーにが来たって。」
「なぬ!?狼が!?」
弥太にサインを貰ってご満悦だった首領の顔が不機嫌になる。
そこまで嫌わなくても良いじゃん。
「ここにも来るらしいよ。どうする?」
「飛んで火に入る夏の虫とはこのこと!野羊城を狼の墓場にしてくれよー!」
ウキウキしている首領を余所に、ガブリエラさんははるにーにと弥太に疑いの目を向ける。
「……ずいぶん耳が良いな。私には何も聞こえなかった。」
「だって、はるにーには兎さんだもん。」
にっこり笑って言えばまた顔を逸らされる。
……嫌われてるのかなぁ。
なかなか目を合わせてくれないからわかんないや。
ま、嫌われてても仕方ないか。
敵対するひろにーにの弟だし、はるにーにと違って他の動物で誤魔化すことも出来ないから一番怪しいだろうしね。
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