短編

□林檎〜もっとも美しい人へ〜
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カナトside


初めはアヤト。

それからライト、レイジ、スバル、シュウ。

みんなが君を取り合うようになってしまった。

ねぇ、君は僕のモノでしょう。

どうしてアヤトに笑いかけてるんですか?

どうしてライトに触らせてるんですか?

どうしてレイジの小言なんか聞いてるんですか?

どうしてスバルの頭を撫でてるんですか?

どうしてシュウに抱きしめられてるんですか?

君は僕の所有物[モノ]なのにどうして僕の許可なく僕から離れてるんですか?

僕以外に笑いかける顔なんていらない。

僕以外の声を聞く耳なんていらない。

僕以外に触れる手なんていらない。

僕から離れていく足なんていらない。

僕以外を見る目なんていらない。

僕以外が触れる身体なんていらない。

僕以外の事を考える頭なんていらない。

でも僕は君にだけは特別優しいから、いらなくても壊さないであげる。

閉じ込めておけば良い事だものね。

そうすれば君には僕だけ。

君の世界の中心は僕になる。

わざわざビスクドールのように完璧な君を壊さなくても良い。
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