短編
□林檎〜もっとも美しい人へ〜
1ページ/3ページ
カナトside
初めはアヤト。
それからライト、レイジ、スバル、シュウ。
みんなが君を取り合うようになってしまった。
ねぇ、君は僕のモノでしょう。
どうしてアヤトに笑いかけてるんですか?
どうしてライトに触らせてるんですか?
どうしてレイジの小言なんか聞いてるんですか?
どうしてスバルの頭を撫でてるんですか?
どうしてシュウに抱きしめられてるんですか?
君は僕の所有物[モノ]なのにどうして僕の許可なく僕から離れてるんですか?
僕以外に笑いかける顔なんていらない。
僕以外の声を聞く耳なんていらない。
僕以外に触れる手なんていらない。
僕から離れていく足なんていらない。
僕以外を見る目なんていらない。
僕以外が触れる身体なんていらない。
僕以外の事を考える頭なんていらない。
でも僕は君にだけは特別優しいから、いらなくても壊さないであげる。
閉じ込めておけば良い事だものね。
そうすれば君には僕だけ。
君の世界の中心は僕になる。
わざわざビスクドールのように完璧な君を壊さなくても良い。