きかく

□解熱剤をください
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季節は夏の始まりに差し掛かった。

衣替えになり、生徒たちは薄着になる。男子の中には女子の半そで姿に興奮する者も多々いるが、それをみて俺は呆れる側である。


「所詮男子は男子だね」隣に居る怜花も呆れながら呟いた。

「決めつけんなよ」

「別に圭介がどうってわけじゃないよ?」

「ああ、雄一郎みたいなやつらのことな」

「うん」

「えっ?待ってよ、俺そんなポジションじゃなくね?」


おいお前ら、と妙に焦る友人を俺は軽くシカトして一組に入って行った。相変わらずイジメがいがあるな。


クラスメイトと適当に挨拶を交わし、自分の席にやっとつけた、と思ったら入口から蓮実が顔を出してクラス中を見渡し始めた。

ふと、直感が働いた。目を合わすな。そう告げている。


怜花のクセでも移ったんだろうな。苦笑いしながらも、ノートを落としたふりをして机の下に屈みこむ。


「ハスミーン!」

「おはよう!!」

「good morning!ところで、早水はいるか?」

「早水くん?」


女子たちの視線がこちらに集まる気配がする。こうゆうのに動じないのは慣れている。


「早水くん、ハスミン呼んでる」

しかし。いくら知らんぷりしても無理がある。呼びかけに答えなかった俺を数人の女子が無理矢理腕をひっぱって立たせた。


「待て、おいこら!」

「はい、ハスミン!つれてきたよ!」

「ん、ありがとう。助かった!」


俺の言うことは全く頭に入っていないらしく、忠実な犬のように女子達は蓮実の元まで俺を連れていった。くそ、殴りたい。


「早水、昨日質問されたことについてなんだけど、俺の解説に間違いがあってね」

「は?そんなこと聞いてな「じゃああっちに移動しようか」」


ああ、くそ、今日も連行されるのか。何なんだ最近の学校生活は………。




・・・・・




「職員室じゃないんですか、蓮実せんせ?」

「こっちの方がきみもいいんじゃないのか?」


奴が連れてきたのは生徒指導室である。よりによって、なんでこんな狭い密室に2人きりなんだ。おかしいだろ。


「やけに緊張してるな」

「してねえよ」


それは何より。にっこり、というよりも、にやりといった方が適切だ。奴はそう笑う。


「それで?昨日は一体どんな質問したんでしたっけ、俺は」

「嫌みを言っているつもりか?その余裕さも可愛いけどね」

「………キモ、」


大の大人に可愛いとか褒められても全く嬉しくない。しかし嫌みたっぷりで言ったつもりがどうやら無意味らしい。


「まあ、別にたいした理由があったわけじゃないけど」

「……」

「暇つぶしがてら、久しぶりに遊んでやろうと思ってね」


奴が席を立つ。びくりとして構えるが、奴は俺の後ろ…唯一の逃げる手段で必要だった扉のカギを閉めた。


「…な、なにする」

「なにって、頭のいいきみなら俺が1組を覗いた時点で気付いているだろう?」

「気付いていたっつったら、何かなるのか?」

「excellent!頭のいい生徒は好きだよ」

「女に言ってろ」

「そうゆう強気な態度もね」

「っン」


蓮実がいきなり俺の口を塞ぐ。こんなのあってたまるか。足を使って蹴り飛ばそうとした瞬間、頭を強打した。

いてえ。どうやら床に押し付けられた。なんでこんな短時間でそんな技繰り出せるんだよ。相変わらず宇宙人だな、ユーフォーにのって早く帰れ。


「悔しいならもう少し腕をあげるべきだね、Mr.Hayami」

「ナイフ持ってれば命取りだぜ」

「残念ながらその前に殺してあげるから安心しなさい」


コイツと話してるとどこまでが冗談なのか、その境目を見失う。


「っやめろ、やめ」


夏服の制服の上から触られる。嫌だ。ベタベタする。微かに出た吐息が蓮実に気付かれたらしくさっきと同じ、にやりと笑われた。


「顔あかいな。解熱剤持ってこようか?」

いらねえ、と返しても返さなくても、これからされることは変わらないので、面倒くさいから言わないことにした。




ああ。夏は大嫌いだ。









(なほ様リクエスト・蓮圭学校プレイ!ありがとうございました。ぐだぐだだし遅くなってしまいましたがすみません!)

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