その他長編集
□月光歌
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ナツ
ん?
もし……もしもだ
なんだよ
もしも、私がおまえの側から離れることがあっても……
その目のことは誰にも言ってはならんぞ
は?なんだよそれ
それは、おまえを生かすための力
おまえのための、特別な力だ
オレのための?
おまえのことだからすぐ忘れてしまうと思うが……
あ!?なんだよそれ!馬鹿にしてんのか!
まぁ、とにかく……
絶対に言ってはならん
その力は特別故に、狙う輩が大勢いるだろう
その時、私はおまえを守ってやれないだろう
大丈夫だって
ナツ……
そんな奴ら、オレがひとり残らずぶっとばしてやる!
それに……
それに?
そんなん、もしもの話だろ?
オレと父ちゃんが離れるなんてことあるわけないだろ!
……そうだな
そう言った父ちゃんの顔が、とても悲しそうであったことに、当時のオレは気づくことができなかった