リク小説 書く

□yoursmile
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グレイ「……」

講義が始まるまでまだ時間があるため、教室内は学生達が話したりゲームをしたりとやりたい放題
そんな中、オレは一番後の窓側を陣取り外の桜を眺めていた

グレイ「きれいだな……」

物心ついた時から桜が好きだった
理由はわからないが、桜を見ているととても落ち着く
怒っていても、悲しくても桜を見るとどうでもよく感じる


グレイ「……なんでだろうな」
「どうしたの?」
グレイ「うわっ!?……あぁ、ルーシィか」

ぼーっと桜をみていたら後ろから急に声をかけられて思わず驚いてしまった
振り返ると、金髪を頭の右斜め上で縛っている女性……ルーシィが隣に座っていた

ルーシィ「挨拶しても返事がないし、なんか悩み事でもあるのかと声かけたら驚かれるし……なに?本気で悩み事でもあるの?」

ルーシィとは去年知り合ったのだが、とにかく勘がいい
話によれば小説を書いているらしいし、観察力があるのだろう
どんな小説を書いているのかはいくら聞いても教えてくれないが……

グレイ「別に……悩み事なんてないよ」
ルーシィ「じゃあ、桜になにか特別な思い出でもあるとか?」

ぐっ……本当に勘がいい

グレイ「そんなんじゃないよ」
ルーシィ「つけてるピアスは赤だし……見かけによらず、赤とかピンクとか、赤系の色が好きなのね」

両サイドの髪を耳にかけているため丸見えの赤いピアスをじーっと見られてむず痒い感じになる

グレイ「色……っていうか、昔から桜とか火を見ると落ち着くんだよ」
ルーシィ「火を見ると落ち着くって……そのノリで放火魔になったりしないでよね」
グレイ「ははっ、せいぜい気をつけるよ」






なんて会話をしていると








「おはよ、ルーシィ」

オレの知らない声がルーシィに投げかけられた

……いや、しらないわけじゃない……どこかで聞いたことがあるような……

そんな不思議な感覚に頭がいっぱいになり、声の主に視線を向ける

グレイ「桜……」

思わずそう呟いてしまうほど綺麗な桜色の髪をした男がルーシィの後ろに立っていた

ルーシィ「あっ、ナツおはよう」
ナツ「おはよ、んで、そいつ誰?」

ナツと呼ばれた男は、前髪に隠れてよく見えない黄金色の瞳でたいして興味が無さそうにオレを見る

ルーシィ「こらナツ、そんな言い方ないでしょ?
まったく……去年知り合ったグレイよ
グレイ、こっちがアタシの幼馴染の……」
グレイ「キミ!」

ルーシィが何やら紹介してくれてるようだがそんなの関係ない
今は、胸のうちにあるモヤモヤとした何かをはっきりさせたい

グレイ「キミは……オレとどこかで会ったことがあるのか!?」

初めて会ったはずなのに、そんな感じがしない
頭の中がモヤモヤする……何かが引っかかる……


オレはこんな意味のわからない状態に頭を悩ませているのに、男……ナツは僅かに眉を寄せるだけ

ナツ「ルーシィ、なにこいつ
頭おかしいんじゃねーの?」
ルーシィ「うーん……確かにおかしいわね
いつもはこんなんじゃないんだけど…」

大学3年の春、オレは不思議な感覚がしたのと同時に、初めて会った男に頭がおかしい奴と認識されてしまった
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