おまけ小説

□滅交奏
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ザッザッザッ

世界が闇で包まれたそんな時間
生き物の気配も草木の揺れる音もしない静寂の中、まるで自然の眠りを妨げるのを気にしないかのようにグレイは整備された道を走っていた

なぜこんな夜更けに急いで走っているかって?
明日はナツと付き合い始めた記念日だからだ
記念日の日は1日ナツと一緒にいると決めているんだ
一緒に出かけて食事したりしようといろいろ考えてたんだ

そんなことを考えてたら宿に一泊して明日帰るなんてゆっくりしていられなくてこうして走ってマグノリアに向かっている

こんな時間に帰ったらナツは驚くかな
それとも怒りつつも喜んでくれるかな

なんて、ニヤけた顔をしながら走っていると、少し前…100mほど前に微かにだが人がいる気配を捉え、グレイは緩んでいた気持ちを引き締める

こんな夜中に出歩いてる奴にろくな奴はいない
よければ老人、悪ければ不良もしくは犯罪者…最悪だと闇ギルド
真ん中か後者だったら容赦しないってかオレに絡んできたら容赦しない
そう心の中で決めながら走り続けているとだんだん人の姿が見えてきた

第一印象は黒
だいぶ近づかなければ人と判断出来ないほど闇に溶け込むような黒い男
その身に纏う白い布だけが異彩を放ちまるで闇の中に漂う幽霊を思わせる
グレイは気にせず横を通り過ぎようと思っていたのだが、男はまるで道を塞ぐように真ん中に立っていたので仕方なくいったん足を止めた

グレイ「なんだよおまえ…真ん中にいられると邪魔なんだけど」

だからさっさと退け
とまでは言わないが自分でも自覚できるほどイライラと高圧的に言うが男は何も言わずグレイを見る
光まで吸い込んでしまいそうなほど深く悲しみを帯びた闇のような瞳がグレイを映す

「…キミがグレイ君…だね」
グレイ「…それがどうした」

名前を知られていることには驚かない
大魔闘演武で優勝した時や、タルタロスの一件のあとのギルド解散、復活した時散々記事にされていたから自分は知らなくても相手に知られているなんてことはよくある
だが、なんだ…この嫌な感じは

「キミは僕と同じ目をしているね
大切なものを失くす悲しみを知っている目だ」
グレイ「っ!?」

男の言葉で脳内に蘇る記憶
デリオラに破壊される故郷…ウル…ウルティア…親父…
胸の奥深くに抉られるような痛みを感じつつ予感は確信に変わる
コイツは…関わったらヤバい…

「他人にその苦しみを教えられるのはそれを知っている者だけ
キミなら…ナツにその悲しみを教えられるだろうね」

取り返しがつかなくなる前にこの男から離れようとした足が止まる
今…なんて…?

グレイ「ナツ……?今…ナツって言ったか?
おまえ…ナツに何をするつもりだ!」

ナツになにかするつもりなら容赦はしない
ここで叩き潰す
勢いのまま男の胸ぐらを掴むが、相変わらず男の表情は変わらない
ただただその瞳にオレを映すだけ

「滅悪魔法を受け継いだ氷の滅悪魔導士グレイ・フルバスター
キミはナツの大切な人物であるにも関わらずナツのことを知らなさすぎる」
グレイ「なん…だと…てめぇ、いい加減なことを…」
「教えてあげるよ
ナツの全てを…キミのなすべきことを」


















長編予定
書き始めれるのはいつになることやら



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