泡沫夢幻
□第十三訓
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「なんですって?斬る!?」
「ああ、斬る」
電柱に貼られた真選組隊士が白髪侍にあてた貼り紙を破りながら言う
「件の白髪の侍ですかィ」
「真選組《うち》の面子ってのもあるがあれ以来隊士どもが近藤さんの敵とるって殺気立ってる。でけー事になる前に俺で始末する」
「土方さんは二言目には「斬る」で困りまさァ。古来、暗殺で大事を成した人はいませんぜ」
紙を丸め私が持っているバケツの中に入れた
「暗殺じゃねェ堂々と行って斬ってくる」
「そこまでせんでも、適当に白髪頭の侍見繕って連れて帰りゃ隊士達も納得しますぜ」
近くにいた白髪のホームレスに目をつける
ついでに持っていたバケツを近くのごみ箱に捨てる
分別?何それ?おいしいの?
「これなんてどーです。ホラ、ちゃんと木刀もちな」
「ジーさんその木刀でそいつの頭かち割ってくれ」
ふと上を見ると眼鏡で見えなかった目がものすごくかっこよかった
「パッと見さえないですが眼鏡とったら、ホラ、武蔵じゃん」
「何その無駄なカッコよさ‼」
「何言ってんでェ、無駄にも無駄なりの存在理由があるんでェ‼」
「何力説してんの!?ンなことよりさっさと行くぞ」
武蔵っぽい人に手を振り先に歩き出した土方さんの横に並ぶ
「マジで殺る気ですかィ?白髪って情報しかこっちにはないってのに」
夢は見てないけどこの回はうっすら覚えてるなぁ
やっぱ武蔵の印象が強かったのかな?
「近藤さん負かすからにはタダ者じゃねェ、見ればすぐわかるさ」
視界の端に頭上注意の看板が映ったので足を止める
「おーい、兄ちゃん危ないよ」
頭上から土方さんに向かって木材が落ちてくるが変な声をあげ避ける
チッ
「あっ・・・危ねーだろーがァァ‼」
「だから危ねーっつったろ」
「もっとテンションあげて言えや!わかるか‼」
「うるせーな、他人からテンションのダメ出しまでされる覚えねーよ」
そういいながらヘルメットを外す銀さ・・・
え?なに?銀さんって言っちゃダメだった?沖田だから旦那って言えってこと?え?違う?まだ言っちゃダメ?どうせみんな知ってるからいいじゃん
・・・ゴホンッTAKE2お願いしまーす!
そういいながらヘルメットを外す男
それは以前池田屋の時にいた男―坂田銀時だった
と言ってる(?)うちに銀さんはまた屋根に上って行ってしまった
「いっちゃいましたよ、どーしやす多串君」
前髪をガッとつかまれる
「誰が多串君だ。あの野郎、わずか二、三話で人のこと忘れやがって」
「土方さん、この小説じゃあ一話前でさァ」
「・・・総悟、ちょっと刀貸せ。ついでにてめぇの面も」
「いやだぁ土方さん何する気ぃ?エッチー(棒)」
結構な声量で言ったから通ってく人がちらちら見ていく
「俺が悪かったから刀貸せ」
「つまんねーの」
聞こえないふりをしたのか刀を受け取ると梯子を上り始める土方さんを横目に裏道に入りその屋根が見下ろせる場所まで向かった