JOJO短編
□ほんのり桜色
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「あっはっはっは!DIOの顔いっぱいあるー。うふふ」
「......。」
こんなティアラは見たことがない。いや、本当にコイツはティアラなのだろうか?
どこかのスタンド使いから攻撃を受けて人格が変わってしまったのか?はたまた俺は夢を見ているのか。
赤くなった顔。少し上がった熱っぽい息。呂律の回っていない言葉。
ティアラに何が起こっているかは一瞬で分かった。
そして鼻をさす強いアルコールの臭い。
「DIO〜♪」
いつものティアラとはまるで別人だ。素直......というより言葉に棘が無い。瞳に宿っていた強い光は涙目に微睡んで全くその影は消えてしまっていた。
おまけにこのDIOがひいてしまうくらいに"ハイ"ときた。
「なぜ酒など呑んでいるのだ」
「知りたい?」
「......。」
コクリと頷く。
「......。
教えなーい☆」
「っ、コイツ......!」
「ザ・ワールド!時よ止まれッ!!」
「ッ!?」
今度はいきなりの雄叫びに言葉を詰まらせる。
当然だがティアラには時を止める能力など存在しない。
そして当然だが秒針は止まることなく、静まり返った部屋に時計の規則的な音だけが響く。
「___そして時は動き出す」
酔っているのにやたら落ち着いた声音。それが無性に苛立つ。
「おい巫山戯るな」
「巫山戯るぅ?このティアラに対してッ!!」
今度はふらつく足でソファから立つと後ろに仰け反り独特なポーズをかましだした。
「うぃぃぃぃいいぃぃぃっ!!」
「WRYYYYYYだ馬鹿者ッ!」
「あはは怒った〜、ストレスは良くない、良くないんらよDIO君!」
もう何者だお前は。
少し言葉に苛立ちはするが普段は絶対に取らない馴れ馴れしい態度に絶句せざるを得ない。