JOJO短編
□「ありがとう」好きでした。
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IB(フリーホラーゲーム)の雰囲気で。
知らない方はプレイして見てね!!
イブちゃん→夢主(ティアラ)
ギャリーさん→承太郎くん
メアリー→DIOさん
(関係は察しで)
でお送りします。。。
「さあおいで。私と一緒に」
目の前に差し伸べられた大きな手。
もう片方の手には花びらが残り少ない青い薔薇が握られている。
言葉はとても優しい音色なのにその奥には私に対する異常なまでの執念が隠せないで伝わってくる。
「、離してッ!!」
咄嗟に強引に繋がれた手を離そうとするが相手は全く手の力を緩めずにそれどころかギリギリと折れそうなくらいに握ってきた。
「い、痛い痛い!!止めて!!」
「......。」
あまりの痛さに涙すると即座に腕の力は弱められてホッと息をつく。
そこでDIO顔をはっきりと直視すると驚く程に悲しげな顔になっていた。
さっきまで見せていた笑顔も微笑みもどこかに忘れてしまったかのような......そんな顔。
「私がどんなにお前と一緒にいても、どんなにこうして言葉を伝えても......心まで向けてくれる事はなかった。それは何故だ」
「DIO......」
孤独だった世界。
誰でもいい。友達が欲しかった。一緒にいてくれる、かけがえのない存在が。
___そんな時、承太郎ともにティアラは現れた。
運命に初めは感謝した。一緒にいる時は孤独なんて感じなかった。だけど、
「私は欲にまみれた......悪魔なのかもしれんな」
「......。」
承太郎に付き添うティアラを見て、好きになった。
承太郎の場所に自分が居れたら___そう思ってしまった。
「!.....止めてッ!」
自分にの手に握られているこの青い薔薇の花びらを全て毟って散らせれば簡単に承太郎は死ぬ。
DIOは恨めしそうに青い薔薇を見つめた。
承太郎が死に、居なくなれば望んだ結果が訪れると私は考えた。でも、
「お願い止めて......!承太郎は殺さないで!!」
目の前のティアラは涙を流して必死に私に懇願してくる。
こんな顔は見たくはなかった。なんでこうなってしまったのだろうか。ティアラ、お前が泣くのは見たくない。
「嫌だよ......DIO、止めて......お願い、殺さないで」
ティアラはとうとう泣き崩れてしまう。
「立て」と言っても駄々を捏ねる子供のように嫌々と首を振って拒否する。
「私では承太郎の代わりは務まらないというのか?」
「代わりなんて......ぃらない」
「!」
「承太郎は承太郎。DIOはDIO。そうでしょ......」
「......。」
___ブチッ。ブチッ。
「!、おいっ」
足下から千切れるような音がしてティアラの手元を見ると自らの生命である赤い薔薇を戸惑うことなくその花びらを毟り取っていた......!
なんて事をするんだティアラは...!自分の薔薇を毟った所で承太郎が助かる訳ではないのに......。
薔薇の花びら少なくなった事により彼女は衰弱し、息が上がる。
「止めろティアラ!!」
「......。」__ブチッ。
「おい!」__ブチッ。
「っ......DIO、私の薔薇と......承太郎の薔薇。......交換、しましょうよ......」
「_______は?」
な に を い っ て い る ん だ
「馬鹿か。そんな事をしたら」
「私は助からない......それでいいの」
「!」
上ずった声で顔を上げた彼女の瞳には太陽のようにしっかりと光をもった覚悟が映されていた。
DIOはその瞳に思わず戦慄しこれ以上に無いほどに心を締め付けられた。
「どうして1人のためにそこまで出来る!?どうして自分は助からない道を選べる!?」
「私は......承太郎を、
愛しているから」
残酷に、甘く響いた言葉だった。
脱力した手から青い薔薇が滑り落ちティアラはそれを拾って自分の残り数枚しか花びらのない赤い薔薇を代わりに握らせた。
「ありがとう」
こんな形で、感謝の言葉を言われるなんて思わなかった。
自分こそ、彼女を誰よりも愛していた筈なのに。今囁かれた言葉はそんなものよりも遥かに重くのしかかってきて今度こそ胸が潰れそうになる。
__ああもう駄目だ。あの2人の愛なんかには自分は叶う相手じゃなかったのか。
「承太郎に青い薔薇が返せたら......その赤い薔薇は散らせても、構わない。好きにして」
踵を返して真っ黒な道をふらつく身体で彼女は走って行ってしまった。
残されたのは自分の黄色い薔薇と彼女の赤い薔薇。
花びらが数える程しかない赤い薔薇は飾るには値しないはずなのに自分の花びらの散っていない黄色の薔薇よりもどんな薔薇よりも、儚く美しく、そして健気だった。
これを___
「これをどうして......
散らそうというのだ......!」
欲にまみれ、愛に溺れた悪魔は一本の薔薇も散らすことも出来ないままその場に崩れた。