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□絆創膏
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僕たちの始まりはあの日・・・



公園で怪我をしていた女の子に



絆創膏をあげたのが切欠でした。





僕たちの恋も、発端はあそこだったのだろう。


*****


「俺そろそろ帰るわ!」

「そか!気ぃ付けてな!」

「じゃーな、蔵ノ介!」

「また明日なー!」

「おぅ!」


たったったったったっ



「うぇーんっ」



「ん?泣き声・・・?」


「ふぇーん・・・痛いよぉ」


「こっちからやな・・・」


ガサガサ

泣き声が聞こえる方向に、草むらを掻き分けて進んでいくと・・・その声の主が俯いて座りこんでいた。

この辺りでは見たことの無いような、少し小柄な少女だった。


「どうしたの?」

「ふぇ・・・?」

声に気付き、少女は顔を上げる。
やはり見たことの無い顔だったが、とても可愛らしい女の子だった。


この時、僕は一目で彼女を好きになったんだ。


少し様子を見てみると、膝から血が出ていた。


「怪我、したの?」

「ぅ、うん・・・」


そこには少し土が入っており、早く消毒しないといけなくなった。


「消毒しないと・・・家にならあるか・・・僕の家に行こう
 ・・・歩ける?」

「うん・・・ぃっ」

「無理やな・・・」


―スッ


「ほら乗り」

僕は歩けなさそうな彼女を見て、背負って行くことに決めた。

「ぇ・・・?」

「早せんと傷の治り遅なってまうから」

「ぁ、ありがと・・・」


「よしっ行くでー」


怪我に響かんように少しゆっくりめに歩いた。



5分くらいして家に着いた。



ガチャッ

「ただいまー!母さん居る?!」


シーン

「あ、そや、出かけとんのや・・・」


彼女の靴を脱がし、ソファに座らせた。

急いで救急箱から消毒液と脱脂綿を出し、脱脂綿に消毒液を染み込ませた。


「少し痛いけど我慢してな」

「うん・・・っ」

「もうちょっとや」


土を取り除いた後、絆創膏に、早く治るよう薬を塗り、それを怪我した部分に貼った。


「ありがとう・・・」

「えぇよ・・・あ、そや」

そこらへんからマジックペンを持ってきて、絆創膏の上にハートマークを書いた。

「怪我がはよ治るようにおまじないや」

「ぁ、ありがと・・・」

「あ、そや、名前なんて言うん?」

「涼」

「涼ちゃんか!
 俺は蔵ノ介、宜しくなっ」

そう言って手を出すと、戸惑いながらも手を握ってくれ、握手をした。


「ぁ、そろそろ帰らなきゃ・・・」

「そやな、送るわ」

「ぇ、いいよ・・・」

「遠慮すんなって」

「ち、違くて・・・私の家・・・横・・・」

「は?」


なんと、彼女の家は俺の家の隣だった。

そういえば最近引っ越してきたな・・・。


「そうやったんや!
 小学校は南梅田小?」

「うん」

「お、一緒や!
 一緒に行こな!」

「うん!」



「じゃーな!」

「またねっ」




*****



絆創膏に書いたハートは、実はもう一つ意味が合ったんや。


怪我がはよ治るようにと、あと一つは、“好き”っていう意味と・・・。


そのことは、他の人にも勿論彼女にも言ってないけどな。




end...?





→おまけ

 
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