_ 君 を 欺 く 話 _

□_ 赤色
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話は数日前まで遡る――――。





二時限目の開始時の事だった。



「あれ、今日は楯山休みなのか?」
教科担任の声。



「いえ、来てますけど...」



男の子の声。



けれど
確かに、



楯山さんはどこにもいなかった。



授業をサボるような子ではない、
楯山さんが居ないのは不自然だった。



「....俺、探してきます」



男の子は先生の了承を待たずに
勝手に探しにいってしまった。



楯山さんは
いつもニコニコして
誰にでも好かれて
それにて、



学年トップクラスの男の子
「如月伸太郎」と付き合ってるとか。



誰もが羨む女の子―――。



といった感じ。



きっと、さっき迎えに行ったのは
如月くんだ。



僕はよく見てないから
分からないけれど。



楯山さんと少し話して
帰ってくるんだろうな。





両想いって、いいな。





そう考えてると
胸の奥がズキッと痛くなった。





「なに考えてるんだよ、僕...」





"キドと両想いになれたらな"
なんて。





無理だよ、考えるのはよそう。





机に伏したまま眠りについた。
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