□バイトin居酒屋さん
1ページ/1ページ



今日、ある情報を入手した私は、駅前の居酒屋に行くことにしました!

実はここの居酒屋さん………何と!あの八田ちゃんがバイト中だと噂の店舗なのです!(鎌本情報)


やー、さんちゃんとかはともかく、八田ちゃんがバイトっていうのは意外だなぁ〜。しかも接客係ときた。
これはからかいに行かねば!とここまで来た次第です。



だがしかし、女ひとりに座敷ってどうよ。寂しいお一人様みたいになってるよ。通してくれたのは八田ちゃんじゃない接客係のひとだけども。


「…さて、我らが斬り込み隊長ことヤタガラスさんの様子はどないや〜っと」


お座敷の障子を少しだけ開けて、店内を見てみる。
あ、似非京都弁は気にしないで、マイブームなんやて。草薙さんの影響や。

夕時とあってお客さんも少なくなく、結構忙しそうだ。

小柄でちょこちょこ動き回る八田さんはいずこ……と店内を目だけで探したところ、いました!!いたよ鎌本!!

黒い帽子を後ろ向きに被って、明らかサイズ合ってないエプロンを腰に巻いて、両手いっぱいに汚れ物持って運んでるなう。
…あー…何かこう…加護欲駆り立てられるなぁ。いや、母性のせいか?


そうこうしてるうちに、この座敷の前を頻りに行ったり来たりするお店のひとにちょっとアレな目で見られたため、愛想笑いして障子閉めといた。


「さてとー。何食べよっかなぁ」


メニューにはたくさんのおつまみやらお酒やらメインやらが写真つきで紹介されている。

どうせなら草薙さんがあまり作らないようなものがいい。あぁー、鎌本が焼き鳥が美味しいって言ってたなぁ。ビールと焼き鳥セットでいっか。

そうと決まれば、八田ちゃんが来るよう祈りながら呼び鈴を押すだけ。

私は気合いを入れてボタンを押した。


「お待たせしやしたー!ご注文っす、か………って、はぁあぁあぁあぁ!!!?」


きゃっほー!!八田ちゃんキター!!って内心は騒いでるけど、無表情に目だけは冷静に八田ちゃんがあたふたしてるのを観察してる私ってすごい。


この私を視認したときの八田ちゃんの顔色やら焦りっぷりやら、もう何て表現したらいいのか解らないけど、とにかくかわいい。

目見開いて、口をパクパクさせて、顔のみならず首まで真っ赤にして…って、女子か!


「何笑ってんだよこのやろぉおぉ!!」

「あらま、私笑ってた?」


無表情貫けんかったわ。
まぁえぇ、とりあえず…


「八田ちゃん、生と焼き鳥セットね」

「っじゃねーよ!!何でおまえがここにいんだよ!!」

「鎌本が教えてくれたんだよ、八田ちゃんここでバイト中だって。だから遊びに来てみましたー!なかなか似合ってるよ〜制服」

「ぅあぁ〜もう!!鎌本ぉおぉ!!」


八田ちゃんは真っ赤な顔のまま頭(というか帽子)をがしがし掻きむしってめっちゃ叫んだ。何だ何だ、ヒステリックかい?


「〜…っ…生に焼き鳥セットな!!もう呼ぶなよ!!」


そう言って、八田ちゃんは早々とお座敷を出ていこうとする。

…え、ちょい待ち。


「八田ちゃん八田ちゃん八田ちゃん、ねぇ、アレ言ってくんないの?」

「んだよアレって!つか俺忙しいんだよ!バイト中!!」

「違うって、バイトで言うことあるでしょ?ほら、注文受けたら?」


期待を込めた目で八田ちゃんを見ると、私の言う“アレ”に気づいたのか、八田ちゃんは苦虫を噛み潰したような顔で何かをぽつりと口にした。

でもそんな小さな声は、居酒屋の喧騒に簡単に掻き消されてしまって、私は首をかしげる。


何?と聞き返すと、八田ちゃんは半ばヤケクソのように言い放った。


「承りやしたーっ喜んでー!!」


真っ赤な顔でお客に向かって叫ぶやつがどこにいる。
そう言いたかったけど、八田ちゃんがあまりにも真顔なので口に出すのは止めといた。


八田ちゃんは何も言わずにお座敷を出ていった。


「…ぷっ」


私が抱腹絶倒するのも無理ないよね、うん。

八田ちゃんにはもう呼ぶなって言われたけど、まぁ目当てのものは見れたしまぁよしとします!





2013.03.26
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ