□カーネーションをあなたに
1ページ/1ページ

「だめ!今日はだめ!!」


日曜で珍しくバーも休みにした今日、彼女のなまえが俺のマンションに押し掛けてきたと思ったら、突然キッチンを占拠しだした。

は?え?
…ちょ、なまえちゃん…何事…!?


「いや、俺、昼飯…作りたいんやけど…」

「だから!だめなの!はいっ、これ飲んで待ってて!」

「は?」


手渡されたのは…まさかのビール…。

いや、俺起きたばっかやし、寝起きにアルコールってあかんやろ…!

抗議しようとなまえに視線を向けるが、なまえはキッチンへ入る通路のスペースにリビングの椅子を置いて、俺が入れんように虚勢を張っとる。あれ、ここ俺んちやんな?


「なまえちゃん?せめて何しようとしとるんかくらい教えてくれへん?」

「だめです!草薙さんは、えぇと、…録り溜めしてたドラマでも見ててください!」

「えぇー…」


何や、今日のなまえちゃんはバイオレンスやなぁ。

まぁ意気込んどる出鼻挫いてもしゃあないし、俺はおとなしくしとるか。


適当にテレビをつけ、ビールの缶を開ける。

久びさにぐぅたらしながらドラマを見とったら、いつの間にか集中しとったらしい。
気づいたらなまえが、テーブルに俺を呼んでいた。


「なん、できたんか?」

「うん!はいっどうぞ!!」

「おぉ、」


テーブルに置かれたのは、どでかいオムライス。うまそうやけど…、あれ?


「なまえちゃんって、料理…できんかったよな?」

「えっ、いや!私、料理得意っ…だよ…?」

「いやいや、そないあからさまに目ぇ背けられてもなぁ。絶対嘘やろ。でも何で今日?」


ぱくぱく、なまえの口が小さく動いた。えぇ…何そんな恥ずかしがることがあるん?

なまえがキッチンに通せんぼしてた椅子をテーブルまで持ってきて座る。なまえを見れば顔が真っ赤で(え?)、心なしか涙目で(えぇ?)、必死に言葉を絞り出した。


「今日、母の日…で…。いつも草薙さん、吠舞羅のお母さんだから、お礼に…何かしたくて…オムライスの練習…したの」


ぽつりぽつり、蚊の鳴くような声で話したから、最後の方はほとんど聞こえんかった。でも、なんやめっちゃ嬉しいこと、聞こえた…。

よく見ればなまえの手は絆創膏やら火傷痕だらけ。


「どんだけ練習したん…」

「3日」

「ほんとは?」

「………2週間…」


人一倍不器用ななまえが、こんな大きいオムライスを作るのは、ごっつ大変やったやろなぁ…。

俺は名誉の負傷だらけのなまえの手をとって、指先に軽く口付けた。


「…おおきに」





カーネーションをあなたに
(なぁ、そういえば、俺が吠舞羅のオカンてどういうことやねん)
(どうも何も、草薙さんはお母さんだもん。だからはいっカーネーション!)
(…はぁ…俺はおまえの何なんや…)
(え?大事な大事な旦那さま!)
(…!)



――――――――――

草薙さんが彼女さんにでら振り回されてる…

まぁこんなのもあり……え、なし?←

2013.05.12
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ