□いっそベタな愛をこめて
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いっそベタな愛を込めて



多々良といえば、バレンタイン。
バレンタインといえば、多々良。

なまえのなかではこんな方程式が出来上がっている。


言わずもがな、吠舞羅のNo.3である十束の誕生日が、バレンタインデーであることに所以している。


十束はその線の細さや、物腰の柔らかさから、毎年山のようなチョコレートを(どこからか誰からか)もらってくる。
もう何年も、恋人とのバレンタインと誕生日を華やげたいと思考を凝らしてきたなまえだったが、今年は既にねた切れ状態だった。

かといって大切な日を御座なりにするのは絶対に嫌。


「……え?」


そう思い、逆の意表を衝こうとなまえが用意したプレゼントを前にした十束は、なんとも間抜けな声を上げた。

十束の前には、ふたつの赤い箱。
どちらも丁寧にラッピングされた、なまえの手作りの品だ。


十束が不思議に思ったのは、箱の数らしかった。


「何で、ふたつ?」

「誕生日と、バレンタインと、ひとつずつ!」

「去年は兼用で、ひとつだったよね」

「今年はふたつだよ!」


毎年、腐るほどのプレゼントをもらう十束でも、流石にふたつ別々のものをもらうのは初めてらしかった。意外性を出せたことでなまえの頬が緩む。

開けてみて、と開封を促せば、十束はしかし嬉しそうにふたつの包みを丁寧に開けた。


ひとつの包みからは、手編みのマフラー。

ひとつの包みからは、大きなハート型のチョコレート。


マフラーは十束をイメージして、明るい赤にオレンジのラインを入れた。
チョコレートは、それこそ馬鹿みたいに、『多々良だいすき』とでかでかとデコレーションしてある。


数秒のち、十束が失笑した。


「なまえ、これ全部作ったの?」

「もちろんっ」

「わぁ、あははっ、すごい!嬉しい!」


十束はマフラーを箱から取りだし、そっと自身の首に巻く。チョコレートは大きすぎて、きっと十束ひとりでは今日中に食べるのは不可能だ。
十束の嬉しそうに綻んだ顔を見て、なまえも破顔した。


「多々良」

「ん、なぁに?」

「お誕生日、おめでとう。だいすきだよ!」





いっそベタな愛をこめて





2014.02.14
 

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