艶が〜る
□熱に浮かされ
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ヒロインside
名無しさん「秋斉さん!!今大丈夫ですか?」
雪がすっかりなくなった京の町。だんだん暖かくなってきたある日、私は秋斉さんの部屋の前に来ていた。
たいしたようなんて無いんだけど…秋斉さんのそばにいたいから。
だけど、当の本人からの返事はなかった。
名無しさん「秋斉さん?入りますよ…?」
恐る恐る、部屋にはいる。
侍従の芳しい薫りが仄かにたちこめてきて…
私の鼻孔は、やられてしまう。
いやいや、今はそんなことに浸ってる場合じゃないでしょ!
はっとして部屋を見渡す。
秋斉さんは机に伏せていた。
居眠りにしては様子がおかしい。吐き出される息が、気のせいか熱気を帯びている…
名無しさん「秋斉さん?大丈夫ですか?」
んっ…と色っぽい声をだして、秋斉さんはゆっくりと起き上がった。
秋「ん…?なんで名無しさんはんが…ここにいてはるん? 」
頬が、赤い。
目が潤んでいる。
こんなに色っぽい秋斉さん、はじめてだよ…。
なんだかわたしがくらくらしてきた…
だけど、様子がおかしい秋斉さんの状況を確認しないと。
名無しさん「ちょっと、失礼しますね」
秋斉さんの首に手を当てる。
明らかに現代にいたらインフルエンザといわれる辺りまで熱がある。
この時代にこの熱は…危険かも。
名無しさん「秋斉さん。仕事はしばらくお休みしてください。」
秋「…なに言うてはるん?」
名無しさん「私、看病しますから!」
そういって半ば無理矢理秋斉さんを布団にいれ、私は全脳細胞をフルに活用して熱のことを考えていた。
名無しさん「たしか…お祖母ちゃんは梅干しを潰しておでこにはるといいっていってたよね…ネギは首に巻くでしょ…」