haco

□不穏な空気
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その頃、火神と史奈は日誌を書いたり教室の戸締まりをしていた。






「くっそー…早く、部活いきてぇ」






「そーだねー…あたしも早く行きたいわ」







早速、日直を任されてしまったら出席番号の早い2人。史奈は学級日誌を書き、火神は黒板を消し、花瓶の水を変えていた。







「つーか、今日こそおまえ等と試合するからな!おまえとも1on1してーし!!」






「え、覚えてたんだ。でもあたしら舐めてると痛い目みるかもよー?」





(うわー…、どうしよう…)







いくら実力があるとはいえ、女子である自分を対等として見てくれるのは嬉しいが他の4人とはちがい、若干試合に乗り気ではない史奈。その前に何故自分が1on1を誘われているのかよく分からない。








「火神くん、1つ訊いてもいいかな?」







史奈は、思いきって火神に聞くことにした。






「あ? 急になんだよ…」






「どうしてあの時、私を見て1on1したい、なんて言ったの…?」







「んなもん、お前としたかったからに決まってんだろ。それ以外に理由なんてねぇよ」







「…そっか。でもな、火神くん。今の君じゃ私達を倒せない。いや、もちろん私も倒せないよ?」







「そんなのやってみなくちゃ分からねぇだろっ!?」






火神は史奈の方に振り向き、虎の様な鋭い眼差しを向けた。
史奈は、それをもろともせず学級日誌にペンを走らせる。






「やってみなくちゃ分からない、か…。君らしい答えだよ。でもね、火神くん。キセキの世代をも上回る人が5人もいるんだよ…?」






「…っっ!! キセキの世代をも上回る…?」







「うん、そうだよ。誰の色にも染まらない絶対的な強さを持つ────…。故にその5人を無色の帝王と人は呼ぶ」





「…無色の…帝王…か。戦ってみてぇ!!」






花瓶を持った右手を大きく振り上げる火神。幸い、水は捨てていた為、零れはせずに済んだが何滴かの水滴が史奈に思いっきりかかった。






史奈は、今まで走らせていたペンを置き火神を睨む。火神は一瞬、怯んだが何事もなかったかのように口笛を吹きながら黒板を綺麗に消し始めた。






「(水滴が飛んできただろうが、バ火神が!! まぁ、いいや。キセキの世代を倒せないと私達には勝てないよ火神 大我…。)」







2人はその後も、少々気まずいながらも着々と日直の仕事をこなしていった。
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