yume

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「大丈夫!?」

フードを被ったネコ目の青年は、攻めることもなく私の心配をしてくれた。

しかも何故か笑っている。

「あっ…大丈夫です…ッ痛っ!」

足首を強打したらしく、血が流れていた。
しかも打ち所が悪く、これでは歩けない。

するとネコ目の青年は

「ねぇ?僕んち近いし、手当てしようか?」

と言ってきた。

これが女性で普通に言ったら、

(いい人だなー)

で済むけど…

だが、目の前のこの男は違う。

ニヤニヤしながら言うので怪しさしか感じない。

「いや…本当に大丈夫ですって…」

私は少し強めの口調で言う。

しかし我に返ると、ここら辺は交通量も多く人通りもそこそこ、

はたから見たら、

(この時間にこんな所に座りこんでるなんて、家出かな…?)

と思われるに違いない。

顔面蒼白になった。

補導なんてくらったら、ますます私の評判がどうなることやら…

ネコ目の男は「さあ?どうする?」と、言わんばかりにこっちを見ている。

(…どうにでもなれ)

結局私は男の家に行くことになった。

手をかしてもらい
いわゆる‘二人乗り’の状態で向かうことになった。

新鮮なような、怖いような複雑な気持ちに。

(…?)

今までしっかりと見てなかったその顔は、かすかに見覚えのある顔だった。

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