いち

□セクシーな男?
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「…ちょっとニエリヒョン、見過ぎ。俺今着替えてるんですけど」

「ん?気にせず続けて」

チェ・ジョンヒョン…全く、お前は何を言ってるんだ?着替えてるから見るんじゃん、バカだな。

「俺の体がうらやましい?」

「そういうことにしとく」

「素直じゃないな」

なんとでも言っておけばいいさ。まぁ、お前の言ってることは外れってわけじゃないからね。


いやぁ…、やっぱり、今見てて思ったんだけど、なんか。

「…色気が」

「は?」

「色気が出てる、色気が」

「……。」

あ、やめろよその目。頭おかしいって思ってるんだろ。

「成長したって褒めてるのに」

「出てってください、着替えにくい」

「なんだよ〜、男同士じゃん」

「そっちがそうじゃないみたいな目で見るからなのに」

俺に背を向けた。わざわざ、裸になった上半身を持ってた服で隠して。
うーん…隠されると見たくなる、悪戯心。

「なんで隠すんだよ〜?」

「わっ…、ちょっ、来んな!」

「見、せ、ろ!見、せ、ろ!」

「嫌だ!」

胸元に持ってる服を掴んで引っ張ってみるけど、一向に離そうとしない。

「最近よく露出してるくせ、にっ!」

「ッ…ひゃ、あ…っ!」

「えっ…」

胸元で手が止まる。最近胸の開いた衣装ばっかり着るから、なんとなくそこに手を伸ばしたわけだけれども…。

なに、今の声。なに、その真っ赤な顔。


「…最悪、出てけ」

当の本人は、戸惑う俺の手を振り払って不機嫌モード。

「ちょ、ちょっと、待って、今の…」

「出てけってば!」

「わっ、ジョンヒョナ!」

ぎゅうぎゅう押されて部屋から追い出されそうだけど、どうしてだかここで引き下がるわけにはいかない気が…。

「もう、マジであんた最悪だからっ…」

「ストップ!待ってよ!俺まだよく状況理解しきれてない!」

もう言葉遣いは気にしないことにする。とにかくドアに挟まれたこの状況をなんとかしなくちゃならない。

「っ、なにこの執着キモい…!」

…そうだ、抱きついてしまえば俺だけ追い出せすことは不可能だろう!

「とうっ!!」

「…〜ッ!寄るな変態!」

「うぉっ…!?」

いってぇ〜…今の蹴りガチなやつじゃん。
なに、なんなんだよ、なんでそんなに拒絶するわけ?ちょっと腹立ってきた!

「早く出てけってば」

「…いい加減にしろよ」

「それはこっちのセリフ…」

「ちょっと触ったくらいで何?最悪?出てけ?純粋に羨ましかっただけなのにさ、お前はいつまでガキなの?そんなに俺が嫌いならもう話しかけてくんなよな」

…ふん、言ってやった。


「……。」

「おい…なんとか言えよ」

「話しかけるなって」

「いや、そうは言ったけど」

返事くらい…。

「……。」

…ん?なに?口パクパクさせてなんて言ってるの?Get…、out?出てけ?

えーっと……。

「お、俺が悪かった!!」

「わかればいいです」

「よし、仲直りにハグだ」

「はいはい…。」

…かかった!すかさずホールドっ!

「ははは!随分と単純だなチェ・ジョンヒョン!!」

「くっ…騙された…っ」

「さっきの何?説明プリーズ」

「嫌だ!」

…いいさ、もう一回やってみるまでだ。

「ジョンヒョナ〜大人しくね」

「黙れ単細胞、お見通しだ」

「ひっど…!お前はなんでそういうこと言うんだよ〜」

「…早く離してください説明するから」

「お…。」

その言葉を信じて手を離す。いや、ハッタリか?逃げる気か?

「大人しくして」

「はい」

…逃げないらしい。ところで俺がなんで大人しくしてなきゃいけない?わからない。

「はいこれここで持って」

「あっ、ちょっ、寒い寒い!」

いきなりパーカーの裾を首までたくしあげられた。ちょっとまだ上裸には肌寒い季節なんだけど…まぁいいや、脱いじゃえ。

「う〜ん、やっぱり俺の方がいい体だな」

「…なんだよ、そんなこと言うためにめくったのか?お?」

「いいえ?ヒョンに体感してもらおうと」

ふっと表情を変えて、俺の腹筋に手を置いてくる。指先が地肌を沿ってゆっくり動いて、胸まで。

「…っ、おい」

「どうですか?」

「どうって…」

「動かないで。」

くすぐったいようなむず痒いような感覚に、身を捩ろうとして止められた。

ああ、なんだよ、どこでこんな触り方を覚えてきたんだよ。こんな…こんなやらしい触り方、なんで俺に。


「なぁ…もうやめ、っ…あッ…」

「わ、ニエリヒョン喘いでる」

「あ、あえいで…っ!?お前…そんな言葉使うなよ馬鹿!」

「だってヒョン感じてるんじゃないですか?ほら…」

「や、…待っ…、ん…ッ」

くそっ…人を変態呼ばわりしておいて、自分だって相当な変態じゃないか!男の平べったい胸を撫でまわして何が楽しい!

「ね、理解できました?」

「なに…っ、お前も喘いでたってこと?」

「…俺のは違います。ただくすぐったかっただけだし」

「ちょっ、やめろ!手、動かすなって!」

「……。」

なんなんだよ!そこでまた不機嫌かよ!今なら俺の方が拗ねたいわ!

「は、ッ…あ、やめろって、ば…っ」

「…えっろ」

「え?なに?」

「別に…何でもないです」

ん?えっ、出てっちゃうの?ヒョンを置き去りにして?

「…おーい?」

「あ、ヒョンしばらく俺に触らないでください気持ち悪いから」

「きっ、気持ち悪いっ!?」

…あ、ドア閉まった。
あいつ…最後に「気持ち悪い」って爆弾落として消えていきやがった…。

気持ち悪いって何だよ?俺が何したって?ひどいぞヒョン悲しいぞ!



……さみ。


そういや俺なんで上裸なんだっけ?あ、思い出した触られてたんだった。
ああ…マジで俺なんて声出してたんだろ。だいたい年下のくせして生意気なんだ。
…俺をなめるなよ、絶対復讐してやる。待ってろチェ・ジョンヒョン!


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