いち

□Love Fool
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おめでとう、なんて。
笑顔で言える時間はとっくに過ぎて。

我らがリーダー、リビングでメンバーに囲まれて祝われて、これは当然。予想してなかったわけでもないけど。


当日って言ったじゃん。約束したじゃん。ねぇ、もう5日だよ。ちょっと。



「…もう寝よ」

馬鹿。マジ馬鹿。クソ野郎。
先月のことなのにもう忘れたのか。ボケるのには早いっての。

誕生日当日に、俺と飯行くって、言ったのに。もう終わったの、気付いてる?
行く気ないのか、そっか、あんな口約束、覚えてるわけないか。俺が馬鹿だったか。それか。


はぁ…寝れねえ…バンミンスの馬鹿野郎…。







「…チャニ、寝てる?チャニ…」



っ、ウソ、ミンスヒョン、の、声。



「ねてる…」

「うそつけ、おい、約束したろ、起きろよ」

「は…?約束…?」

「あ、忘れてたな?お前〜」

は?俺が?忘れる?あんたとの約束をどうやって?

「ざけんな、俺がどんな気持ちで!!」

「ん」

ん…?なに、これ?
最近俺が気に入ってるジャケット…。

「どういう意味、?」

「それだけ着れば出れるだろ」

「出るって…」

「飯、奢ってくれんでしょ?行こう」

なんで俺の財布ヒョンが持ってくんだよ、こんな時間に何を食べるって?こんな夜遅くに…。
あぁ、もう、わかったよ、行けばいいんだろ。俺だって、内心来てくれるって期待してた。


「あっ、ま、待って!」

「なんだよ〜、朝になるぞ」

「あれがなくちゃ、」

「あれ?財布も携帯もあるよ、チャニの」

「馬鹿、違うよ…もっと大事な…」

あっ、た、よかった。これがなきゃ。ここ一ヶ月プライベートで離したことないんだ。このブレスレットは。

「…なんだよ、それのこと?文句ばっか言ってたくせに、財布より携帯より大事って?」

ミンスヒョンが笑う。ヤバい今気付いた、そんなこと言ってたか、俺?

「別に…ヒョンと行くんだから、つけなきゃと思って。いつもはつけてないし」

「ふーん」

可愛くない俺。馬鹿。
くそ、バンミンス。ニヤニヤすんなよ、我ながら下手なウソだったって思ってるけど。


いいから、行かないといけないだろ。朝になるって、そっちが言ったじゃん。
こんな時間になったことへの不満は、後でたっぷり言わせてもらうから。
財布は俺のがある。ヒョンは何も持たなくていいから、それだけ覚悟して。




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