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□幸せなふたり
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※こちらのおはなしはSS『幸せな家庭』の続編となります。引き続き夫婦設定、ヒナタが妊婦さんです。よろしければお進みください。。。












いつもより慎重に、細い体を抱え、横たえる。
いつもより、それがシーツに沈み込む気がするのは、彼女の中に灯る、もう一つの命の重みの為だろうか。
その、ぽってりと膨れた腹を撫でながら、ネジは彼女に覆い被さり、唇を塞ぐ。
未だこんなことにも、ヒナタは薄らと頬を染めていた。
キスでさえ、欲情してしまい、歯止めが効かなくなるから、それさえもネジは抑えていた。
控え目に入れた舌で、口内を軽く掻き混ぜ、息の上がったヒナタを解放し、いつもはそこで終える筈だった。
しかし、今日は違う。

次第に水音が立ち、唾液に塗れるモノに変わると、切なげに身動ぐ彼女が、ネジの首に腕を巻き付けた。
息が上がり、苦しくなっても、今日のネジは解放しない。
ヒナタが欲しいと思っても、呉れないキスだった。
ネジがキスを控えていたのは、己の事情の為だけでなく、身重のヒナタも気遣ってのこと。
――あまりするのも……いけないでしょう?
口付けを止め、体に障るからと、物足りなさそうに見上げるヒナタに、困った笑顔でネジは言っていた。
ヒナタとしては、丁重に扱い過ぎだと、思っていたのだが、ネジが頑なにそれを守る為、黙って受け入れていた。

「本当に……良いんだな」

絡ませた舌を離し、ぷはぁ、と息をついたヒナタに、ネジは囁く。
抱いて、良いんだな……。心地良く響く重低音が、脳に到達し、ヒナタはクラリと眩暈を覚える。
首筋に吐息を受け、押し付けられる唇の柔らかさに、肌を震わせながら、コクコクと、弱く頷く。
そこで、仮令拒否されたとしても、もう今更ネジには止める気はなかった。
鼻先を、ヒナタの柔肌に押し付け、久し振りに甘い匂いを吸い込み鼻腔を満たす。
早く、触れて、彼女の奥まで触れて、掻き混ぜて、共に蕩けたいと、欲情した掌が忙しなく肌を往復する。
顔を仰け反らせるヒナタの首筋に、唇で吸い付きながら、ネジはゆったりとした妊婦服のボタンを、一つずつ外す。
胸元を広げると、其処からプルリ…と零れたヒナタの豊乳に、思わず視線が釘付けになる。
妊娠で乳房が張り、元々大振りであるのに、今は更に一回り程大きく見える。
桃色の乳輪も、プクリと膨らみ、正に食べ頃を迎えた果実のようだ。
頬を著しく紅潮させ、ネジからの強烈な視線にヒナタが耐えていると、晒された乳房に、やがてネジが触れる。

「……っ……」
「……痛いか?」
「……だ、大丈夫……優しく、なら」

僅かに顔を顰めるヒナタに、ネジは直ぐに沈み込ませた指を離した。
張った乳房が、過敏に反応し、ヒナタは息を詰めた。
痛くはないが、少しそのような配慮が欲しい。
おずおずと見上げる、ヒナタの不安げな瞳に、ネジは分かったと、頷いた。
元から、激しいことはするつもりはなかったが、ヒナタの訴えを心得て、ネジは乳房に掌を宛がうと、下から優しく掬い上げる。
詰めた息を吐き出す、ヒナタの様子を見ながら、己の掌の中で乳房を愛撫する。
まるで初夜のよう―−。
あまりに手探りな掌、そしてヒナタの初々しい反応に、ネジは苦笑したくなるが、それは或る意味に事実だった。
二人共、妊娠中の行為は初めて。
いつも以上に、気を遣い、無事に事を終わらせなくては。
しかしヒナタと生まれてくる子を支える夫としての、そうした責任を感じつつも、ネジの意識は自然に、官能的なヒナタの肌に向かう。
掌の中で、プルプルと揺れる、その頂点に色付く突起が、視覚的にネジの脳を侵攻していた。
甘そうな果実に、甘く誘惑され、ネジは我慢ならず、乳房に顔を埋め、頂を舌で弾いた。

「あ……っあぁ……ん……っ」

胸を反らすヒナタを、柔らかく押さえつけながら、桃色の果実に、舌を絡ませる。
ピチャピチャと水音が立つと、ヒナタは嫌がるように身を捩った。
当然、それは恥じらいの為と思って、行為を止めなかったネジだが、ヒナタは頭を振り、本当に嫌がっていた。

「ま、まって……っにいさん」

切迫した声に、愛撫による濡れたそれ以外のモノを感じ、ネジは顔を上げる。
濡れそぼった乳首から、唾液の糸が引き、ネジの唇と繋がっている。
銀糸を垂らし、口元を拭おうともしないネジに、恥ずかしそうに頬を染めながら、ヒナタは途切れ途切れに訴える。

「あ、あの……ね……、それ、だめなの……」
「ん……? だめって?」

要領を得ないヒナタの話に、ネジは首を傾げる。
握った手で、喋る唇を隠すようにしながら、ヒナタは目を伏せる。

「先生が、仰っていたの……に、妊娠中は、シない方が、いいよって」

消え入りそうな、だが大分衝撃的なことを告げるヒナタの声に、ネジは固まった。
玩具を取り上げられたみたいな、心なしか傷付いた顔をするネジに、ヒナタは慌てて説明した。
妊娠中の乳頭への刺激は、早産を引き起こすことがある。
その為安定期に入った妊婦には、予め知識として医師や看護師から話しておくのだが、ネジは付き添うことが出来なかった為、耳に入れていなかった。

「……分かった。なら、仕方ないな」

己の欲を、そうして冷静な声音で押し込めて、ネジは許された箇所への愛撫を始める。

「に、にいさ……?」
「分かっている。“ソコ”には、触らない。」

心配そうなヒナタの声に、きっぱりと言い返すと、乳頭を避け、ネジは乳房に齧り付く。

「あ……っ……にぃ、さ……っ」

舌で柔らかく舐め上げ、吸い付き、乳房が唾液に塗れていく。
膨れた乳輪には触れずに、まるでソコに手を出せない“腹癒せ”のように。
チュパチュパと音を立たせながら、張り出した二つの膨らみを舐め回すネジに、ヒナタの体の奥が火照り出す。
浅く呼吸をするヒナタをちらと見、ネジは片手を腿に移動させる。
大分、己も興奮してきたが、丁重に扱わなければいけないことには、変わりない。
急く気持ちを抑え、探るように指先で滑らかな腿を撫でていると、ヒナタが息を弾ませながら、自ら足を開いた。
口元に手の甲を乗せ、羞恥に目尻まで染めながら、ネジが触れるのを、待っている。
未だヒナタの足を覆う、妊婦服の裾をネジは捲り、秘部を露わにする。
全身の血が、ソコに集まったように、ヒナタの陰部はぷっくりと盛り上がり、赤く充血していた。
大分、敏感になっているらしいソレに、配慮しながら、ネジはそっと指先を伸ばす。

「ぁ……っ」

――くちゅり、と。
ネジの指の腹がはしたなく濡れる。
否、濡れているのは、ヒナタの方。

「は……っは……ぁ」

少し往復させるだけで、水音が増え、ネジの指先に翻弄され、くちゅくちゅと淫らな音が立つ。
そのまま、グチャグチャに掻き混ぜてしまいたいのを我慢し、ヒナタの為に、早急に先に進む準備を、ネジはする。
ヒクヒクと、開いたり閉じたりしている入り口に、指を宛がう。
僅かに力を込めるだけで、ヌプリ……と、ナカに指が吸い込まれた。

「あはぁ…ン」

ソコもやはり、十分過ぎるほどに蜜で潤っており、久しいその刺激に、感度が高くなっているのか、ヒナタが狂おしく体を反らせる。

「……大丈夫か? ヒナタ様」

それだけで、息も絶え絶えになっているヒナタに、気遣ってネジが尋ねると、眼差しを合わせ、コクリと彼女は頷く。

「……じゃあ、ゆっくりするから……」

加減をしなければ、直ぐ様達してしまいそうだ。
指が半分突っ込まれた状態で、立たせた腿を震わせながら、小さくヒナタは頷く。
挿れたままの指を、少し抜き、またナカに差し込むと、そのままネジはヌルヌルと内壁を擦り出す。

「ふ……ぁ……っに、さ……っ、あぁ……」

あまり奥まで挿れないよう、配慮しながら、ゆっくりと指を抜き差ししていると、濡れたヒナタの声が部屋に満ちる。

「ど……しよ……っ、あぁ……それぇ……すごい……っ」

上気させた顔を、トロンと快楽に蕩かせて、ヒナタは身悶えた。
ナカは燃えるように熱く、柔壁がうねり、ネジの指を食もうと、切なく絡みついてくる。
カラダの内部が痙攣するように、震えているのが分かる。
まだ指一本で、こんなにも感じてしまう。
若干、腹の中の子への影響も、心配なのだが……。
ここまで来てしまったら、どうしても己の欲も発散したい。
ヒナタもそれを思って、ネジへと話を持ち掛けたのだ。
身重のヒナタへの負担を考え、あまり時間を掛けない方が良いかと、ネジは熱い柔壁から指を抜き、己のソレを取り出す。
ビクビクと脈打つ、凶悪な姿の一物を、鎮めるように握ると、ヒナタを窺う。

「ヒナタ様……無理だったら、本当に言って欲しい」

トロンとした目を瞬き、意味が分からない風なヒナタは、ネジが入り口にソレを宛がうと、途端に体を強張らせた。

「あのっ……ま、まって……」
「大丈夫だ。加減はする」
「そ、そ……じゃ、なくて」
「……何だ? まだ何かあるのか?」

二の足を踏むヒナタに反し、彼女の蜜口はピクピクと轟き、押し付けた亀頭を逆に食もうとする。
ヌラヌラと蜜を混ぜる動きを止め、ネジは至極不思議そうにヒナタを見遣るが、ヒナタには切実な願いだった。
だって、今、ソレをイレたら――。


――いっちゃう    かも、   しれ、ない。


「……別に良い。そんなの。赤ん坊に影響がないよう、加減はする」

やっとのことで紡がれた、消え入りそうなヒナタの訴えは、呆気なく退けられた。

「ネ、ネジ兄さん……!」

ヒナタに構わず、ネジが腰を進め、ズプリ…とアタマを突っ込んでいく。
ヌルリと、滑るようにナカを押し進むソレに、ヒナタの体がぞわりと勝手に震え出す。

「だ、だめ……っゆっくり……っ」

「……っ……分かっている」

言われる前から、ネジは慎重にコトを進めていた。
ヒナタの呼吸に合わせ、時間を掛けて自身を押し込む。
しかし全部を収める前に、ネジは動きを止めた。
いつものように、奥まで届かないソレに、不思議になってヒナタはネジを見上げる。

「……そんな顔、するな。……仕方ないだろう?」

少し困ったように、微笑を浮かべながら、ネジはそんな恥ずかしいことを、言う。
別に、物足りないとは、思っていない。
只少し、不思議に思っただけ。
どこまでも気遣いを見せるネジに対し、ヒナタは子の存在を少しばかり忘れていた。

「なっ……ち、ちがっ……わ、わたし……っあん!」

カアアッ、と顔を真っ赤に染めるヒナタの、言葉の先を待たずして、ネジが腰を動かす。
ヒナタに言われたように、ゆっくり、ゆっくりと、熟した花柱を擦り、往復する。

「ん……に、にいさぁん……っ……あ……あぁぁ……っ」

膨れた腹と、不用意に接触しないようにと、慎重にネジは律動する。
こんな緩やかな動きでも、耐え難い快感が二人に押し寄せた。
まるで、差し込んだモノが、ヒナタの熱で、ドロドロに蕩けてしまいそうだった。
久し振りに埋め込んだ濡れた花柱は、却って締め付けが強くなったようで、知らずの内にネジは、腰を進めることに没頭する。
シーツに手を付き、徐々に動きを速くすると、どこか守るようにして、腹を抱えながら、ヒナタが甘く啼いた。
その、子を守る幼顔の母を、犯しているかのような錯覚に、不謹慎ながらネジは一気に高まってしまった。
大体身重の体を抱くというだけで、大分後ろめたい。
硬度を増した己が、奥を貫く代わりに、角度をつけ壁を抉る。
ヒナタが反応を示すと、ソコを執拗に狙って亀頭で擦り上げた。
みっちりとネジを咥えこんだ蜜口からは、動きに合わせ淫水が掻き出され、シーツが濡れそぼる。
ネジに優しく、しかし的確に攻められ、ヒクヒクとヒナタのナカが震え出した。

「や、あぁ……っ、くぅ、ン……っにぃ、さ……っ」
「っ……! もう、ヒナタ……」

これ以上の締め付けには、耐えられる自信がない。
涙を滲ませる、ヒナタの瞳の縁を指先で拭いながら、速度を速めナカを擦り上げる。
タプ、タプと振動で揺れる腹に、目が行くが、もう止められず、ネジは腹を抱えるヒナタの手に、己の手を重ねた。

「―――――ッ!!」

白い閃光が、瞼一杯に広がり、一瞬何も見えなくなる。
只、腹を守るヒナタの手を、ネジは離さずにしっかりと握っていた。
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