VOCALOID

□悪ノ王子《第2話》
1ページ/11ページ



カイトは夢の為に歌う。歌い続ける。
自分の歌でみんなを幸せにする。
ウタウ国の為、そしてミラー王国に住む姉の為。姉はミラー王国を苦しみから救おうと戦っている。王国を苦しめる火種、王子レンを止めようと。


「カイトはなんで歌手になったんだ?」

カイトの友人が聞く。

「みんなを幸せにしたいから」

「…確かにカイトの歌は素晴らしいしみんな幸せになる。だけど歌だけで全ての人間を幸せにできると思うか?」

歌だけではなんにも成らないと言う人も出てくる。例えば、頭の硬い大人は歌だけで貧困がどうにかなるのかと批判するだろう。

「俺の歌だけでできない事は沢山ある。だけど、一人の人間として俺は歌う…」

カイトはきつい現実を前にしても迷いはなかった。

ミラー王国で戦う姉の事を思えば怖くない。







「俺は姉さんが支えてくれるから大丈夫」






姉―――メイコ・スカーレットは今も必死に戦っている。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ