ねこになる:立会事務官ヒロインと御剣さんの恋 ※改正前verのみ閲覧可能

□プロローグ(改正前ver)
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みつるぎさんが好き。






だいすき!!!





ねこになったわたしは、


王子様と一緒にいるかわりに、ことばを奪われた人魚姫みたいに、


気持ちをことばにして、


みつるぎさんに伝えることができない。









どんなに好きだって叫んでも、


わたしの口から出るのは、


「みゃあ!」


ていうねこの鳴き声だけで。





”好きって気持ちを伝えるのは、


どうしてこんなにむずかしいんだろう”





人間のときですらむずかしかったのに、


ねこになって、


みつるぎさんに恋をして、


『好き』


って気持ちを伝えるのは、


今までの恋愛からは


想像もできないぐらいに困難だった。







「みつるぎさん、だいすき!!」



ていくら叫んでも、ちっとも伝わらないのがもどかしい。



もどかしいのにどんどん好きになっちゃって、


こんな感情もっちゃいけないって我慢しようと思えば思うほど、


みつるぎさんの不器用なやさしさや、

わたしを抱きしめてくれる腕から逃れられなくて、

大きな手で頭を撫でられると気持ちがよくて、


自分の気持ちに

あらがえなくなって、抵抗できなくなって、


防波堤が崩れたみたいに、


もう……だいすき!!


ていう気持ちだけがどっと押し寄せて、わたしの全身を満たす。






みつるぎさんが見てくれるのは、

人間のわたしじゃなくてもいい。ねこの身代わりでもいい。




そう思えるようになるまでにずいぶんと時間がかかった。


誰にも言えない恋。


それがわたしの、恋。





clap

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