ねこになる:立会事務官ヒロインと御剣さんの恋 ※改正前verのみ閲覧可能
□様子がおかしい(改正前ver)
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「さて……」
今日はこれで失礼させてもらう。
御剣はそう言ってスッと立ち去ろうとする。
居酒屋を出て、矢張が
「もう一軒行こうぜ!」
とノリノリに言ったすぐ後のことだ。
ナンダヨ、ナンダヨ、最近付き合い悪りぃじゃねーかよ!
ミツルギィ〜〜〜!!
顔を真っ赤にしてがなりたてる矢張を成歩堂が苦笑しながら取り押さえる。
「御剣、これから用事でもあるのか?」
成歩堂の言葉に御剣はうム……とひとつ唸って、腕組みをした。
用事というほどでもないのだが……と、ふたりから一瞬視線を逸らして改めて成歩堂たちの方を見る。
「うちで待っているあれがいるのだよ……」
何かを思い出したのか、一瞬、ふっ……と目を細めた御剣を、成歩堂も矢張も見逃さなかった。
「では失礼する」
ふたりがあっけにとられている間に御剣の背中がぐんぐん遠くなっていく。
その後ろ姿すらも、心なしか嬉しそうに見えるのは気のせいなのだろうか……?
御剣が笑った。
それも、人を嘲るような笑みでもなく冷笑でもなく、微笑ましいものを目にしたような柔らかい表情だった。
「ちょっと待てよミツルギィイィイイーーーー!!
オマエ、女がデキたんだろぉおおおお!?
オマエ、その子、紹介シロォーーーーー!!」
という矢張の怒鳴り声が響き渡る頃には、御剣の姿はもう、見えなくなっていた。
ナンダヨ、あいつカノジョ出来たかと思ったらイキナリドーセーかよ!
やることはえーんダヨ!!
オレがナオミと別れたばっかだってのによォ、チキショー!!
友達甲斐のない野郎め!!
おぼえてやがれ!!
夜空に吠える矢張を支えながら、やれやれ、今日は朝まで付き合うはめになるな……と、成歩堂は冷や汗を掻いていた。
それにしてもあの表情。
成歩堂が今まで見たこともないかおだった。
なにが一体彼にあんな目をさせたのか。
(僕もその子に興味あるな……)
親友としてはぜひとも、あの御剣を変えた女性を見てみたい。
二軒目を探すのに付き合いながら、成歩堂の頭の中はその「カノジョ」のことでいっぱいだった。
だが、御剣を変えたのは、女性ではなかった。
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