亜双義夢(男装夢主)

□眠れない夜
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亜双義は凛を間に挟み、成歩堂の正面に向かい合って腰を下ろす。


「認めるのか?

晴れて貴様も

オレと同じ男色家の仲間入りということになるが……」


腕組みしながら、亜双義がちらりと成歩堂に目を遣れば、成歩堂が動揺したように抗議する。


「こ、こ、こんなの!?
ドキドキしない方が無理だろ……

一般的な日本男児なら……は、は、反応しない方がおかしいッ!」


何が反応する、とまでは言わないが、
自分の発した言葉に恥いるように、成歩堂が顔を真っ赤にして叫ぶ。
それに対し亜双義が重々しく頷いて見せた。


「ではオレも貴様も正常ということか……」


ごっくん。

ぎょっくん!


生唾を飲み込む二人の音が重なった。



「き、き、君が心惑わされるのも、仕方がない気がしてきた……」


目を泳がせながら、落ち着かない様子で成歩堂がつぶやく。

ちらちら、ちらちらと、凛を見つめ、慌てて目を逸らし、
また見つめ、目を逸らす。


「す、少しは落ち着いたらどうだ、キサマ」

「挙動不審な君に言われたくはないな!! 亜双義!」


顔を真っ赤にしながら、憤然と成歩堂が叫ぶと、
凛が眉をしかめ、うるさそうにする。


「ん、うぅん……」

その唸り声すらもが悩ましくて……生唾を飲み込む音が室内に更に響いた。

成歩堂は奇妙に目を泳がせ、上から下まで、凛の肢体に魅入っている。


ぐぬぬぬっと拳を握りしめ、
亜双義もまた、凛を見つめながら悔しげにつぶやく。


「これが……これが女であれば……

なんの迷いもなく突き進めるものを……!」


つまり女なら、とっくの昔に口説いているということだ……

何の迷いもなく、白川 凛の事を。
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