亜双義夢(男装夢主)
□眠れない夜
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* * *
とうに一刻以上の時が過ぎていたが、亜双義も成歩堂も飽きもせず凛の寝姿に見入っていた。
二人の熱っぽい眼差しが、白川 凛の顔や身体に注がれている。
「正直な話、毎晩これでは……身が持たん」
ふぅと、熱いものを堪えるように亜双義がため息を漏らす。
切実そうな声に、成歩堂は亜双義の強靭な忍耐力と我慢強さを称賛したい気分になった。
自分は一晩でも身が持たない気がする…――
「かわいい……な……」
「…………」
成歩堂の言葉に、亜双義が腕を組んだまま無言で頷く。
「ふ、二人揃って眼科にでもかかった方が良いのか知らん……」
成歩堂が震え声で言えば、亜双義が素早く頭(かぶり)を振った。
「無駄だ。
既に眼科には行った……」
ぎょっとする成歩堂に気付かない様子で、亜双義が大真面目に言う。
「視界良好。
正常な判定しか受けられなかったぞ」
唸りながら重々しく頷いて見せる亜双義に、成歩堂は目を瞬いていた。
(こいつ、既に我が目を疑い眼科にまでかかったのか……)
(亜双義の奴、そこまで思い悩んでいたのか……)
これは重症だ。
客観的に凛を美しいと思う心は正常だろう。
だが男の寝顔を見ていて、劣情を抱くというのはまた別だろうと成歩堂も思う。
男としてまずい……非常にまずい……
ミイラ取りがミイラになったように、凛に不埒な真似をしたくなってしまう自分も非常にまずい。