悪魔に魅入られた女神(仮題)
□第1章 黒ウサギと毒舌ホームレス
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「ちょっ…大丈夫ですか?」
慌てて彼の元へ駆け寄って肩を叩く。
すると、彼の妙に膨らんでいるお腹の辺りから黒ウサギがぴょこっと顔を出した。
「…え!?」
ウサギはわたしを見ると嬉しそうに身体を震わせた。
驚きで目を白黒させたわたし。
こうなったらもう自棄(やけ)だ。
「無事生まれたみたいです! 元気な黒ウサギですよっ」
ぽんぽんと尚も肩を叩くと、
「…ばっかじゃねぇの?w」
と、口調通り思いっきり馬鹿にした声がした。
「……」
冷静に今の発言を思い出し、何も言えなくなるわたし。
これだけ人を馬鹿にできるなら問題ないだろう。
わたしは何事もなかったかのように立ち上がり彼に背を向ける。
「おいっ、ちょっ待てよ」
彼に腕を掴まれる。
「…何ですか」