悪魔に魅入られた女神(仮題)
□第1章 黒ウサギと毒舌ホームレス
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彼はわたしを上から下まで舐めるように見つめてくる。
「ちょっ…」
「血の気は?」
「は?」
「は? じゃねぇ、血。貧血気味かどうかって聞いてんの」
正直に言えばわたしはこれまで貧血を起こしたことがないが、女子としてはもう少し弱い位が丁度良いのではないかと思っている。
「今 は 普通だけど…」
助詞の“は”を強調して言ってみたが、彼は特別気にかけてこなかった。
「なら、ちょっと目ぇ瞑ってろ」
「え…っ」
「嫌なら…そのままで構わない」
言うなり彼はわたしの着ているパーカーをめくった。
変態と叫ぼうかと思ったが、近付いてきた彼の顔色が、異常なほど蒼白でわたしは言葉を飲み込んだ。