帝王と座敷わらし

□座敷わらしと日記帳
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どうも。
最近イギリスの大きな屋敷に移住して来た座敷わらしのヒナノです。
下見期間のつもりが何故かこの豪勢な屋敷の主に見つかっていまい、現在半強制的にこの屋敷に縛られてしまいました。
何たることでしょう。
というのも、私たち座敷わらしは普通なら人の目には映りません。
なぜならそういう妖怪だからです。
住み着く家の候補を選び、下見して、「よし、ここの人を幸せにしよう!」と決意して初めて主に姿を表すのです。
そして相手に姿を見せるというのは私たち座敷わらしにとっては一種の契約でして、相手が幸せを認めるまで離れられなくなるのです。
それまでずっとその主を幸せにするために仕えなきゃならないんですねこれが。
即ち、幸せだと認めない場合は一生、死ぬまでその家にいなきゃならないんですよ。
だから私はいつも穏やかで優しい不幸な人の家を選んでいたというのに。

因みに、こないだ大往生した山田さんは早々に幸せだと私に言いましたよ?
孫がいるようで嬉しい、寂しくないって。
だけど山田さんたらとっても淋しがり屋だから、私がいなくなるとすぐまた独りぼっちになって溜め息吐き出したんですよ。
だから、これはもういっそ死ぬまで付き合おうかと居座ってたんです。
だって放って置けないし山田さんいい人だから住み心地抜群でしたし。

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