風の行方

□2.いつもとの違い
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・・・つまらない
あのあと教室に戻った俺は廊下側の前から2番目の自分の席に座って本を読み始めた。俺だけ行動が速いのはいつものこと

しばらくすると、他の奴らが帰ってきた。いつもはうるさいのに、今日は何故か俺を見た瞬間にみんな黙り込む。・・・俺なんか言ったか?まあ、静かな方が本も集中して読めるしな・・・。うるさくても変わらないが

先生「よーし、HR始めるぞー」

先生が入ってきた。始業式の後のHRと言えば大概は委員や係決め。俺は特にやりたいものはないため特に話も聞かずに絵を描いていた。流石に本を読むのは失礼と思い、ルーズリーフを出して風景画を描く。俺は意外と絵も好きだ。思いついたときに思いついた絵・画を描く。何故か自然に落ち着くこの感じが昔から好きだった。正直言えば、絵を描くのも失礼なのだろうが、ボケーっとしているよりはマシだ

着々と委員や係が決まっていく。これなら俺の出番はないだろうと思ったとき

先生「新木、お前放送委員やってもらってもいいか?」

・・・また、か。毎年放送委員は人気がない。だから毎年といっていいほど俺に回ってくる

ユイ「・・・わかりました」
先生「助かる。ありがとな」

どうせ俺が断ったところで、HRが長くなるだけだと思っている俺は、とりあえず了解の返事をだす。とりあえず、毎週の当番には休みなく出ているし、定例委員会にも出ている(いるだけ)から何も言われない。



そのあとしばらく風景画と格闘していると、HRが終わり、終礼に突入。そのまま終礼もすぐに終り、俺は帰る支度をして、教室をでようとする。すると、さっき話しかけられた・・・仁王だったかな・・・が扉を塞ぐようにして立った

ユイ「・・・どけ」

そう言って仁王と扉のすきまから出ようとする
。すると、いきなり仁王に腕をつかまれた

ユイ「・・・なんだ」

少し睨みを利かせて聞く。すると、仁王は俺の睨みなど全く気にせず返事をした

仁王「お前さんについて聞いてもええかの?」

なんだこいつは。周りでは女子どもがキャーキャー言ったり俺を睨んだりしている。それよりも・・・こいつ、今俺についてって言ったよな。・・・というか、何故こいつは俺に話しかけようとするんだ。そこがわからない

ユイ「・・・お前には関係ない」

そう言って、俺の腕を掴んでいる仁王の手を振り払って俺は帰途についた



・・・ん?普通なら腕を掴まれたらすぐに振り払うのにな・・・。何故今振り払わなかったんだ?・・・謎だ
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