風の行方

□4.昔の傷は深く刺さる
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「…」
お風呂から上がった俺は、自分で煎れたほうじ茶を飲みながらイスに座っていた。毎日お風呂上がりの10分はこうやってボケっとしている。何もかんがえず、ただ座る。これをしていると、少し体が楽になる気がする。それだけでやるのもどうかと思うときもあるが、既に習慣化してしまい、いやでもやってしまう。


ボケーっとしはじめてから数分。ふと棚に立ててある写真が目に入った。家族4人…父と母、兄、そして…俺。まだ、幸せだった頃の、唯一の家族写真。俺が幼かった頃、まだ、兄貴と比較されることの無かったとき…
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