ゴミ箱

□シーザー、霊夢
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あぁ、雨が鬱陶しいわね!

天を見上げていた顔を自分の足下に転がってる血まみれの死体、シーザーに向ける。

「何時までコソコソしてるつもりよ、紫」

「あら、流石ね」
空間が裂け、そこからニュッと出てきたのは紫だった。

死体に向けていた視線をゆっくり紫に殺意の籠もった瞳に変えて、紫を見つめる。

「…彼を、殺す必要性はなかったんじゃないかしら…?」

自分で自分の言っている事が可笑しく感じた。殺した本人が言えることではないだろう。

「いいえ、この子は不確定要素、殺さなければ幻想郷が壊れていくだけよ。」

そう、シーザーは幻想郷にとって不確定要素だったらしい。
彼は元々『外』からやって来たのだ。
幾宛のない彼を気分で拾って一緒に住んでいた、シーザーとは何時も喧嘩ばかりしていたけど、それは新鮮で楽しくもあった。

そんな時、紫が現れ、シーザーを殺せと言ってきた。意味が解らず顔をしかめる私に続けて言った。
『あの子は元々死ぬ筈だったの、それがどういう訳か、此処に来てしまった。
それだけなら良いんだけど、彼この世界と合わないみたいまぁ不確定要素って所かしら?…世界は彼を排除しようとするわ、その時は幻想郷は巻き込まれるわ。』
口元々を扇子で隠しながら言う。
『――それにコレは巫女としての責務よ?だから、幻想郷の危機を貴方に救って欲しいの、霊夢?

微笑みながらそう言って最後は、じゃあね〜なんて軽快に去っていった。
゛巫女としての責務゛
…私は――私は、




雨は私の気持ちを表すかの様に降り続いている、私は未だ死体の側で突っ立っていた。
気がつけば紫はいなかった。帰ったのだろうか…。
しゃがんで死体の息を確認してみたがやはり息はなかった。
「好きだったかもしれないわ、シーザー」
死体の胸に頭乗せながらそう言った。

呼吸の音は聞こえなかった。













(悲しい)

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