短編集。

□痴漢。
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__嗚呼、またか。
満員電車の中。尻を触られるのはもう慣れてきていた。
まあ、なんというか…よくこう毎日触っていて飽きないなと関心すら覚えてくる。
しかも、触ってるのは男の尻だぞ?そろそろ気づいてもいいだろう。
というか、ズボンを履いている時点で、まず男じゃないかと疑うだろ。バカか、こいつ。



「……っ」



上手い。
尻の触り方が妙にエロい。ていうか何ていうんだろ。揉みしだかれてる感じ。
今日はいつも以上に盛ってんな。
こんなことをしてくる男の顔が一回見てみたいもんだ。本当に。
あーあ、俺のこと女だと思ってるんだろうなあ。可愛い可愛い、目がくりくりしたような巨乳のボインだとでも思ってんだろ。
そんでもって敬語で礼儀正しいけど、淫乱ちゃんって感じが一番の希望なのかな?こういう奴等には。

だがしかし、残念だったな。
お前が今、その手で揉みしだいている尻は目付きの悪い、胸なんてぺったんこの男の尻だ!
そんでもって口なんてめっちゃくちゃ悪いぞ。



『次は_……』



あ、そろそろこの痴漢野郎の降りる駅だ。
毎日毎日、この駅で俺の尻の違和感がなくなるからな。
嗚呼、やっと解放される。

だが、しかし。

………あれ。駅、過ぎたけど。
俺の尻への違和感が解放されてねえ!何で!?
ていうか、さっきより動き激しくなってる気がするんだけど!

と、その時だ。後ろの男の手が俺の胸へと伸びた。
しめた!これで俺への痴漢は終わる…!
……その筈だったのだが。



「っ、……!」



男は胸がない俺の乳首をまさぐってくる。
え、嘘、何で!?


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