短編集。
□コスプレ。
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「じゃーん!」
俺が住んでいるマンションの俺の部屋の玄関前。恋人の湊はなんとも可愛い冥土服を着て其処に立っていた。
フリフリのパンツが見えそうな位のミニスカ。真っ白なレース付きのハイソックスに、ふんわりとしたカチューシャ。
……ただ残念なのが、ぺったんこな胸。まあ、胸がないのはしょうがないんだけど。…にしても。
「よく、その格好で此処まで来れたね」
最初の一言がそれ?みたいな顔をしてあからさまに顔を歪める湊。いや、誰だってそうなるってば。
そう思いながらも「とりあえず入って」と湊を中に入るように促す。
だって、その格好ちょっとご近所さんから見たらおかしな人だし。そういう趣味の人とお近づきだと思われたくないし。
「何ー、折角恋人が可愛い格好して訪問してきてあげたって言うのにさあ」
なんてブツブツと文句を言いながらも「おじゃましまーす」と中に入る湊。それを見てドアを閉める。
まあ、確かに可愛いとは思うけど。
俺はコップにお茶を入れて湊の前に出す。すると、「あ!」と湊が大きい声をあげる。
「………何?湊。そんなに気になることあったの?」
「あるある!大有りだよ!そういうお茶を出すのは冥土とかそういうのの仕事でしょ?」
まあ、確かにそうだけれども。それがどうかしたのか。そう思って首を傾げると、「わかってないなあ」と湊が立ち上がった。
「こういうのは、今日一日俺の仕事だって言ってんの!」
嗚呼、確かに冥土さんの格好だもんね。お手伝いとかご奉仕とか………。
………っておい、マジか。
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