短編集。

□痴漢。
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え、嘘、嘘でしょ!?
パニック。まさに俺の頭はそのパニック状態だった。
え、何で止めないの。普通男だって気づくだろ、流石の貧乳フェチでも男だって気づくだろ!
だって胸全然無いよ、膨らみどころかちょっとガッチリしてる筈だよ。………ちょっとだけど。
そんなことを考えている間にも行為はどんどんエスカレートしていく。滑らかな動作で服の中に入っていった手はやっぱりエロくて。
腹をゆっくりと撫でながら上へ上へと伝っていく指先。少しぞくぞくしてしまう。



「……っん」



その指に左胸の乳首をきゅっと摘ままれれば、自分の口から艶めかしい声が漏れた。
そのままコリコリとそれを刺激され、漏れそうになる声を必死に抑える。
グッと肘で相手を押し、どうにか離れようとするも相手の力の強さには叶わなくて。
糞、もっとちゃんと筋肉つけとくんだった!
尚も必要に乳首攻めを繰り返してくる相手に、ぎゅっと目を瞑った時だ。



「……、ひぁっ…!」



急に自分の性器を掴まれ、ひっくり返ったような声が出る。
え、ちょっと待って。こいつ、俺が男だって知ってた……確信犯!?
半分勃ちかけていた其処をやんわりと揉まれるように解されれば、段々と力が抜けていって。
足の力が抜け、カクンッと膝が折れ、後ろの痴漢野郎にぽすっと埋まる形になってしまった。



「〜っ!」



思う壺だった。奴は俺の力が抜け、反抗出来ないのを良いことに、俺の身体のあちこちを隅から隅まで触り始めた。
顔、首、鎖骨、腕、腹、腰、太股……。
奴の手が俺の身体を這いずり回る。その羞恥に必死に耐える。



「ねえ、君ってさあ、もしかして童貞?」



ひっそりと耳許で囁かれれば、ゾクッと鳥肌が立ち、全身が緊張する。
確かに俺は童貞だ。でも、そんなことをコイツに言ってどうする。俺は黙った。
そんな俺を見て、「へえ、マジで童貞なんだ。ふうん」と愉しそうに呟く痴漢野郎。
いや、俺何にも言ってないけどね?
と、密かに相手にツッコみを入れた時、ジーッと何かが開く音がする。
あれ、何か俺の股間が涼しく……。
嫌な予感がして、パッと下を向くと、其処には完全に勃起している、俺の性器があった。
ぬ、脱がされた………!


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