うたぷり

□たくさんの好きをあげる
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ある日、現場で蕾のついた鉢植えを貰った。植物になんか興味はなかったけど、春歌にあげたら喜ぶかな、と思って持って帰った。



「これ、あげるよ」

スタジオに来ていた春歌に貰った鉢植えを渡す。

「いいんですか?」

「何の花かも、育て方とかよくわからないし」

調べれば分かるけど、女性は花を貰うと嬉しいというデータもあるし、春歌にあげたかった。

「あの、では一緒に育てませんか?」

植物も生き物だし、育てるという事を実践するのも悪くないかも…と考えていると春歌が慌てて話を続ける。

「無理にはいいんです!ただ…一緒に育てたいな…と」

最後の方は声が小さくてよく聞こえなかった。

「毎日、鉢植えの様子を見に来ること。それならいいよ」

「??」

「一緒に育ててもいいよってこと。君、本当に鈍いよね」

「すみません」

しょげさせたかった訳ではなかったんだけど、やっぱり言葉は難しい。
言葉で伝わらないなら態度で示すしかないので、ボクは春歌の身体ごと両腕で包み込んだ。

「毎日会いたいって言ってるの」

そっと耳元で囁くと、春歌の顔がみるみる赤くなっていく。

「…鉢植えがなくても、毎日、会いたいです…」

抱き合っていないと聞こえないほど小さな声で、春歌が言う。

「…ありがと」

少し照れくさくなったけど、春歌が同じ気持ちでいてくれたのが嬉しくて、額に口付ける。

「せ、先輩!?」

「なに?嫌だったの?」

首を傾げて春歌を見つめる。春歌はボクのこの顔に弱いのはリサーチ済みだ。

「う…。嬉しい…です」

「それなら良かった」

キスはしてもいいみたいだし、今度は唇に口付けた。

「…ん…」

角度を変えて、何度も唇を重ねる。初めて唇を合わせた時よりもっと深く、春歌を感じる。

「…大好きだよ…」

「…せんぱ…」

春歌の言葉を途中で塞いで、もう無理ですって春歌が根をあげるまで口づけをし続けた。




ねぇ、ボクって思ったより君が居ないと寂しいみたい。だから、君がくれる優しい時間をこれからも一緒に過ごしたい。たくさん大好きって伝えるから、ボクの側にいてよね。






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