うたぷり

□男は狼なのよ
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「おはやっぷ〜。今日はよろしくお願いしま〜す」

今日はドラマの撮影でテレビ局に来ている。スタッフに挨拶をしながら春ちゃんを探す。彼女も今回は劇半で関わるらしいので、今日は見学に来ると言っていたから来ているはず。


「月宮先生!おはようございます!」

「春ちゃん!おはよう〜」

元気に挨拶してくれたのが嬉しくて、満面の笑顔で返す。

「可愛い衣装ですね!お似合いです!」

「ふふ。ありがとう!今からのシーンは女の子バージョンだからね〜」

今回の役は男性だけど女装で身分を隠し殺人を犯す犯人役。男性と女性の両方を演じ分けるから、なかなか大変なんだけど春ちゃんもこの仕事に関わってるって聞いて嬉しかったのよね。

遠くから撮影開始の声がかかる。

「じゃあ言って来るわね!…夜、行ってもいいかしら?」

耳元で小声で聞いてみる。

「…は、はい!」

顔を真っ赤にして可愛いんだから。私はヒラヒラと手を降って撮影に入った。




撮影は順調に進み、夜9時頃には終了した。これなら、ゆっくり春ちゃんと過ごせそうかな。そう思って、春ちゃんを探すと、どうやら男性スタッフと話してるようで、気になって近づいた。


「へぇ、あの曲君が作ったんだ!こんな可愛い子が作ってるなんて知らなかったよ。俺、君の曲好きだな〜。そうだ!連絡先教えてよ!今度、仕事頼みたいしさ」

「あっ!はい!えと…」

春ちゃんはごそごそと筆記用具を出して連絡先を渡すつもりみたいね。

「はいは〜い!ごめんなさいね。うちは、事務所通さないとダメなのよ。だから、お仕事の依頼は事務所によ・ろ・し・く・ね☆」

ウィンクを一つお見舞いして、春ちゃんの手をひいて現場から離れる。



「…あ、あの!先生…!」

「黙って付いてきて」

彼女の手を引きながら早足で楽屋に向かい、楽屋に入る前に誰も周りにいない事を確認してから、彼女を押し込んだ。

「…せ、先生…?」

春ちゃんは不安そうに上目遣いに見てくる。

そんな仕草が無防備で、片手で長いウィッグを外し、彼女の腕を引いて言葉の変わりに口づけた。

「…ん…」

「…ん?!…や…先せ…」

抵抗するように、胸を押されたが、さらに力を込めて腰を引き寄せた。



「…はぁ…」

どれくらい口づけてたのか分からないけど、彼女の力が完全に抜けきってオレの身体にもたれかかる。
「…ねぇ、男に聞かれても安易に連絡先なんか教えたらダメだよ」

彼女と二人の時は完全に男の低い声で呟く。

「え!?どうしてですか?」

そうだよね、君は特別鈍いんだった。

「男はね、どんなやつも可愛い女の子を食べちゃいたいって思ってる狼さんなんだよ?」

彼女の額に自分の額をくっ付けて、目を合わす。春ちゃんはよく分かってないようで、顔を赤らめて口をパクパクしている。

その顔、可愛いすぎるんだけど。家まで我慢出来ないかも…。

「…もちろん、オレもね」

彼女にだけ聞こえる声で囁いて、額に瞼に頬に、そして最後に唇に自分の唇を重ねた。





キスした後に、楽屋でも誰かに見られてたら!って言って怒られたけど、彼女に悪い虫が付かなくて良かった。無防備な君は可愛いけど、目が離せなくて困るから君がオレ以外見られないように、たくさん口づけて夢中にしてあげるからね。








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