うたぷり
□知らない感覚
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最近、胸のあたりがもやもやする。それも決まって、春歌とキスをしている時に限って。どこか故障しているのだろうか。
「ねぇ。ちょっと試したいことがあるんだけど」
「へ??んっ?!」
春歌の返事も聞かずに、唇をふさぐ。
やわらかい唇どおしが繋がって、気持ちいい。でも、やっぱり胸のあたりがもやもやする。初めてキスした時のギュ〜ってする感じとも違う。
「っは。せん、ぱ…」
「もう少し…」
離れようとする春歌を引き寄せて、もう一度キスをする。
確かにドキドキはしてるけど、もっと違う感覚。
あえて言うなら。
もっと、もっと、春歌が欲しい。唇は繋がってるのに、もっと春歌を感じたい。
この感覚はなんなんだろう。
やっぱり故障かな。今度、メンテナンスの時に博士に聞いてみよう。
「…も…無理…れす…」
そう言って、その場にしゃがみ込んでしまった。
「まだまだ、足りないんだけど」
「え!!?」
顔真っ赤にして、その顔逆効果だよね。
「今日はこれで許してあげるよ」
しゃがんだ春歌の頬に口づけて、そっと抱きしめた。
→あとがき