コルダ3
□サプライズの罠
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「あれ?ハル君は?」
パート練習が終わり、部室に戻ると他のチェロパートの人はいるのに、ハル君がいない事に気がついた。
「…ハルならパート練習が終わったら用事があるって言って、さっき帰ったぞ。あとは個人練習だけだからいいけど、珍しいな」
ハル君と同じチェロパートの男子が教えてくれた。
「…そうだね…。ありがとう」
個人練習しないでハル君が帰るなんて珍しいなぁと思っていたら、ポケットに入れた携帯が震えた。
『今日は用事があるので先に帰ります。すみません。帰りは明るい道を通って気をつけて帰って下さい』
ハル君からのメールだった。ハル君も練習より外せない用事があるんだなぁ…なんて、その日はボンヤリ思っただけだったけど、そんな風に個人練習の時間になると先に帰ってしまう日が週に何度かあるようになり、私は少し不安になってきた。