コルダ3
□恋人はヴァイオリン
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「私、響也くんが好きです」
高校に進学して、こんな光景を見てしまうこともしばしばあるようになった。中学までは律くんと比べられてて、響也はいつも律くんへのアプローチの道具だったのに。
響也の良い所は私だけが知っていればいい、そう思って律くんに群がる女の子たちを見て、どこか安心していた。
私は響也が好き。
でも、幼馴染みという関係を壊したくなくてずっと昔から変わらないように無邪気な自分を演じてきた。
響也が私を幼馴染み以上には見ていない事を知っていたから。
ずっと側に居られるなら、幼馴染みのままでもいいと思っていた。だけど、私たちも子どもままじゃない。子どものようにずっと一緒に居る事はできない。
今みたいに響也に想いを告げる人達を見る度に、見つめ返す響也を見る度に、私の胸は締め付けられて辛くなる。
もう…限界だと思った。
その場から立ち去ろうとした時に、響也と目があってしまった。いてもたっても居られなくなって逃げた。全力で。