うたぷり
□10年目の約束
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「お〜い!トキヤ〜」
雑誌の撮影で遅くなってしまったけど、なんとかトキヤと七海がいる内に着いて良かった。
「遅いですよ。全くあなたという人は…」
トキヤのお説教癖は今だに治らない。オレも10年前よりしっかりしたと思うんだけどな〜。
「ごめん、ごめん。でも、あれ?この時間に来るように言ったのトキヤじゃなかったっけ?」
「え?そうなんですか?」
「なっ!何を言うのですか!」
トキヤが焦ってる。取材で少し遅れたけど、指定された時間からそんなに遅れてないはず…。
「二人とも手紙持ってるじゃん!オレが来るまで待ってくれなかったの?ヒドイよ〜」
「ちょ!音也!黙りなさい!」
なんで、なんで?なんか七海も困った顔してるし…。ん?なんか七海の指が光ったような…。
「うわ!指輪じゃん!トキヤから貰ったの?」
「は、はい!」
顔真っ赤だし。
「上手くいったんだ。トキヤ、良かったじゃん」
そろそろ結婚を考えて、社長に掛け合ってたのは知ってたし、すっごい無理難題を押し付けられてるのも見てたから素直に嬉しい。
「お〜と〜や〜…」
なんか、トキヤ怒ってるんだけど、なんで?
「いぃ、痛い!痛い!!」
こめかみ辺りをグリグリされて、むちゃくちゃ痛い。なんかこんな事、前にもあったような気がする。
「恥ずかしがらなくていいのに」
「だ!黙りなさい!」
オレたち二人を見て、七海も困った顔してるけど笑ってる。二人が幸せになってくれたのが、素直に嬉しいと思う。
「二人とも、おめでとう!」
オレがそう言うと、二人がはにかみながら顔を合わせた。トキヤってそんな顔もするんだな〜。
「「ありがとうございます」」
二人同時に言って、みんなで笑いあった。
正直、ちょっと羨ましいと思う事もあるけど、二人がずっと幸せであるようにオレも願うよ。
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