ゆめ
□歩く。
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ちがう。
わたしはただ皆さんの役に立ちたくて
信用されていなくても
ただ認めてほしくて
「土方さ・・・!」
「あらー。すずとどこかのニコチン中毒な多串くんじゃないの。」
驚いたわたしと土方さんが後ろを見てみるとそこにいたのはこの町で万事屋を営む坂田銀時、銀さんだった。ちなみに片手には生クリームたっぷりのパフェがあった。
「ぎ、銀さん!」
「・・・ちっ!何でよりにもよってテメーがいるんだよ。胸糞悪ィもん食いやがって。」
「あん?お前だってこーんな真昼間からこーんなかわいい娘さんと町中デートですか?警察官がこんなんで江戸の町は大丈夫ですか?真選組の名が泣くぞコノヤロー。」
「お前にんなこと言われる筋合いねェんだよ!!自分だって真昼間から一人で寂しく糖分摂取してるじゃねェか!!」
「おいおいおいデートの所認めたぞこの男。ナニされるかわかんないからすず!!こっちに来なさい!!」
二人のやり取りを見ていたわたしを銀さんが
ぐいっと引き寄せる。
「わわっ、ちょっと銀さんっ!」
「ばばばばば馬鹿か白髪天パ野郎!!今は仕事中なんだよ!!てか気安く桜村に触んな!!」
今度は顔を真っ赤にした土方さんがわたしの腕をぐいっと引き寄せる。
「もう二人ともいい加減に・・・!」
「ちょっと銀さんこんなとこにいたんですか!もうすぐ仕事始まっちゃいますよ!?」
そういって店の前に現れたのは、万事屋の従業員の一人、志村新八くん。メガネ100%の少年。
「いやそんな人を果汁100%みたいに言わないで下さいよ。・・・て、土方さんとすずさんじゃないですか!お仕事お疲れ様です。」
「新八くんこんにちは。」
「おう丁度いいところに来たなメガネ。早くこの糖分過剰摂取ニートを連れてってくれ。」
「そうだった・・・銀さん!早く行きますよ!夕方から工事のアルバイト入ってたじゃないですか!神楽ちゃんも向こうで待って・・・」
「銀ちゃんズルいヨ!一人だけワタシを置いてパフェ食べるなんてハチュウ類失格アル!」
「いやいや銀さんは人類だからね神楽ちゃん」
「すずアルーーー!!」
「神楽ちゃん話聞いてる?」
勢いよく抱き付かれたわたしは少し後ろにのけ反った。
この女の子も万事屋の従業員。神楽ちゃん。
初めて会った時から何かとなつかれて、仲良くさせてもらっている。
「まあ何だ。すず、今度うちに遊びに来いや。神楽も喜ぶだろうし。」
「そうネ!定春も喜ぶネ!絶対アルヨ!!」
「は、はい。行かせていただきます。」
「おい白髪天パ。てめぇ桜村に何かしやがったら承知しねェからな。」
「へいへい。てめぇもほどほどにしとけよ。」
「なっ・・・!!!!」
「さてと、行くぞおめーら。」
「じゃあお二人とも、失礼します。」
「すずまたネーー!」
銀さんはニヤリと笑ったあと新八くんと神楽ちゃんを連れて甘味処を後にした。
「・・・ったく何なんだよ胸糞悪ィ。」
土方さんはもう一本煙草に火を点けた。
「もう夕方か。桜村、俺たちも屯所に帰るぞ。」
「はい!」
昼間の賑わいも静まり、夕日の暖かな淡い光を受けて町内が黄金色に染まる。
人数も少なくなった道を土方さんと二人で歩く。