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□届かない人。
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今日の公演にあの人が来た
大好きだったあの人。


「おぉ〜、めい!元気だった?」
「うん、普通に元気だったよ」



久しぶりに見た顔は変わっていなくて
少しホッとした。

相変わらず、面白くて綺麗で





伏せていた思いがまた、溢れ出てきそうだった




そんな貴方はすぐに
私をすり抜けて、他のメンバーの所に行ってしまった。



遠くで楽しそうに笑っている貴方

それを悲しく見つめている私。

なんだろう、この気持ち。
ねぇ、優花、胸が苦しいよ?





気晴らしにその辺をフラフラしていたら
自動販売機でジュースを買おうとしている花音を見つけた



「かーーのんーっ!」
「っ!めいめい‼ビックリしたぁ〜」

「ごめん、ごめん」



おもいっきり、花音を後ろから抱きしめたらバランスを崩して倒れるところだった。


優花のことを忘れようとしても、やっぱり頭の中では優花のことばかり


「花音好きだよ」

溢れそうな涙をこらえようと
そう言ったら花音は目を細めた


絡まる指。
重なり合う唇。


とまらない、この想い




『ねぇ、ずっと側に居てよ』



そんなことを、心の中で想いながら花音を
貴方だと思って強く強く抱きしめた


だって、


『愛してる』と伝えても、もう二度と貴方には届かないから

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