私はそれでも片想い中。
□プロローグ
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6月17日月曜日。
私、木本花音は親の都合でこの栄女子高に転入することになった。
重い足で職員室に行き、担任の先生と会い、
初めての自分のクラスへと向かう。
ドアの前で待っていてくれと言われたから
大人しくドキドキしながら待っていた。
「みんなぁ!今日は転入生を紹介するぞぉっ!」
『マジ!?どんな子ですか!?』
『可愛い子かなぁ』
『早く見たい〜♪』
『ははっ』
ドア越しからでもキャッキャッしてる女の子たちの声が聞こえた。
ヤバい…心臓パンクしそう…
「よぉ〜し!じゃあ今から呼ぶからねぇ!
入っておいで〜」
綺麗な先生の合図と共に、ドアをガラガラと開け黒板の前に立った。
「自己紹介ヨロシク!」
「は、はい。えっと…尾張栄高から来た木本花音です。これからよろしくお願いします」
一気にしーんっと静まり返った後、
教室から拍手が鳴り響いた。
「木本の席はあそこだから」
「あ、はい」
一番後ろの窓側の席に指が指され、
席と席の間の通路を通り自分の席へと向かった。
荷物を掛けて、椅子に座りホッとする。
一安心したのは良いが、
辺りではコソコソ話声が聞こえる。
嫌だなぁ…
人見知りだったから、こーいうのは昔から嫌いだった。
そんなモヤモヤした状態で、チャイムが鳴り朝のホームルームが終わった。