HSKの妹様(仮)

□第6SK
1ページ/4ページ


『ふわぁ〜』

加奈は眠いのを我慢して授業を受けていた。


〈ガシッ〉

『!?』

音がした方を見てみると火神は寝ぼけて先生の頭を掴んでいた。

『(何してんの!?)』

火神の行動に眠気が吹き飛んだ。

「・・・ん?」


火神はまだ寝ぼけてるのか間抜けな声を出した。

「・・・んじゃないわ、何堂々と寝とるんだキサマ!あとで職員室に来い」

「えぇ!?」


『(ね、寝ぼけてるにも程があるでしょw)』


テっちゃんはスルーされてる。
いいなぁーこういうとき使えたらミスディレクション怒られないでああやって堂々と寝られるし。


『あれメール?』


リコ先輩からメールだ。
『(…1年生全員、昼休み2年校舎集合・・・?)』




――


「なんすか用って」

いきなり呼び出されて不機嫌そうに質問する


「ちょっとパン買ってきて♡」

「は?」

『パン?』


普通に聞けばパシリを命令されているように聞こえる


「実は誠凛高校の売店で毎月27日だけ数量限定で特別なパンが売られるんだ」

「はぁ・・・」

「それを食べれば恋愛でも部活でも必勝を約束されるという噂の幻のパン

イベリコ豚カツサンドパン
三大珍味キャビア、フォアグラ、トリュフのせ!!税込2,800円!」

「高っけぇ…!し、やりすぎて逆に品がねぇ!!」


高校生の購買部で2,800円という高いパンが売っているのも驚きだが、三大珍味のせのパンがある時点で論外だ・・・



「海常にも勝ったし、練習も順調、
ついでに幻のパンもゲットして弾みを
つけるぞ!ってワケだ」


「けど狙ってるのは私達だけじゃないわ
いつもよりちょっとだけ混むのよ」


リコ先輩がちょっとだけを強調してたのも気になるけど、日向先輩・・・

『(何故目を逸らす・・・)』



「パン買ってくるだけだろ?
チョロいじゃん・・・ですよ」

『(もう突っ込んだら負けだ・・・)』


「ほい」

かがみんにそう固く誓っていたら、目の前に茶封筒が差し出された。


『?』

「金はもちろんオレら二年が出す。
ついでにみんなの昼メシも買ってきて
ただし失敗したら…

釣りはいらねーよ
今後筋トレとフットワークが3倍になるだけだ」

『(こわっ!)…って3倍も』



笑顔が怖い笑顔が!




「お昼の買い出しクラッチタイム!?」

「ホラ、早く行かないとなくなっちゃうぞ」

「伊月先輩・・・」

「大丈夫、去年オレらも買えたし
パン買うだけ・・・パン・・・」



「パンダのエサはパ『「「「「「行ってきまーす」」」」」』・・・」


加奈たちは伊月のダジャレを遮って、購買部に向かった。


私たちがその場をはなれたあと、
リコ先輩がこれを恒例行事にするわよって話してた事は一年生は知るはずもなかった。




「・・・マジなのか?」

「か、カオスだ・・・」

『うわー』

見るなり私たちは目の前に広がる光景に絶句した。
何故なら・・・

全校生がイベリコ豚カツサンドパン三大珍味のせをめぐり購買部に押しかけているからだ。

『(これはもはや戦場だな)』





「とにかく行くしかねー
筋トレフットワーク3倍は、死ぬ!!」

「よし!まずは俺が行く!
火神ほどじゃないがパワーには自信があるぜ!」

「死ぬなよ!」

『やっぱり戦場だ・・・』

加奈は小声で呟いた。



「うおおおおお」と勢いよく戦場に突っ込んでいく河原。だが、すぐに弾き飛ばされて撃沈。


「歯立たなすぎだろっ!・・・」

『ていうかムリじゃない?』

「?」

「ラグビー部のフォワード、アメフト部のライン組、すもうにウエイトリフティング・・・」

『あんなすごいブロックをかいくぐるなんて・・・(ちょーめんどいじゃん)』


その前に新設校のはずなのに部活が豊富すぎる。


「おもしれ・・・やってやろーじゃん!」
と同時に走る火神。

一度は入ったがすぐに弾き飛ばされていた。



「This is Japanese lanch time Rush!」

「火神〜」

『なんでここだけアメリカかぶれなの?』


加奈は降旗たちが挑んでも挑んでもパンが買えないのを見て、

『(あーもーめんどうだ、自分で行こう)』

という結論に至った。



周りをよく観察したらなんか今まで味わったことがない感覚に襲われた。


『(なにこれ、なんで頭の中に映像が、しかも上から見えてるの・・・!?)』

最初は戸惑っていたがその上から見える映像のおかげでなんなく人の間を潜り抜けレジの前に出てきた。


『(早く買ってここから出たい・・・)』

人ごみにのまれ窒息死しそうになっている。

お金を出してパンを手に取ってやっと戦場から出てこられた加奈。


『(死ぬかと思ったー)』


出てくる途中で河原の上に火神が乗ってグラウンドサーフィンしているのが見え、河原に同情の視線を送る加奈だったのだ。



『買って来たよー』

「「「えっ!?」」」

「オマエどうやってあの人ごみの中を!?」


3人にものすごい勢い信じられないという顔で聞かれた。


『普通に買えたけど・・・ってなんでボロボロなの』


加奈の質問には答えず、何故か嘆いていた。


「あのー」

声をかけられて後ろを振り向くと黒子がいた


「買えましたけど…」

黒子の手にあったのは例のパン

「なっオマエもどうやって!?」


「人混みに流されてたら
先頭に出ちゃったんで、パンとって
お金置いてきました」

さらっと言いのけるテっちゃん。


『さすがテっちゃん』


「いえ、そんな…ってどうしたんですか?」


『さぁ?聞いたけどわかんない』




パンも無事に買えたところで、


屋上に着くとすでに先輩達が待っていた。



「買ってきました…」


私とテっちゃん以外は疲れている顔をしている。いや疲れていると思う。



「お疲れーありがとっ
はい、ジュースあるよ!!」

『ありがとうございます』

だから目逸らしてたのか・・・




「こ、これ例の…」


「あーいーよ
オマエらで食べな」


「え、いいんですか?」


「いいって遠慮するなよ」


自分たちのために買いにいったのか



「じゃ順番に誰から行く?」


「いやー今回はやっぱ黒子か加奈だろ」

『テっちゃん先どうぞ』


「…じゃあいただきます」


「…これは…!!めっちゃ美味しいです」

〈ピロリン♪〉
加奈は数秒もかからずに写メを取っていた。


みんなが加奈の方を向く

『めったに見られないから』


加奈はどこか楽しそうだ



「こんな幸せそうな黒子初めて見た!!」

おそらくここにいる全員がそう思っているはずだ。



『私も食べてみよ・・・!
おいしー』

次の瞬間周りの空気が一瞬固まった。
何故なら今いつも無表情な加奈がすごく嬉しそうな顔をしているからだ


〈カシャッ〉
『!?
なんで取ってんの?』


「お返しです」

そのあと私とテっちゃんの写メが誠凛バスケ部の中で出回ることになるなんてしるはずもなかった。


「じゃあオレもっうおウマッ!!
味のハーモニーってやつ!?」


「どれどれ、うわジューシーな豚にフォアグラの甘味とキャビアの酸味が…!」


「何言ってんの!?」

1年3人組はパンがよほどおいしかったのかレポーター顔負けのコメントをした。



「オレはでかいけりゃなんでもいいや」


火神が食べていたのは、

スーパーロングBLT
(100p1000円)

すごくでかい。



『でか!こんなのも購買部で売ってるの…』



誠凛購買部恐るべし・・・!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ