LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜きっかけは一つの出会い〜
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「香織」
中本香織の公私公認の彼氏、古賀満人(LJ学園高等部二年B組)は彼女の名前を呼ぶ。銀の髪を前は少し鬱陶しいくらい垂らし、後ろは肩までの長さに伸ばしている。
「あん?何よ」
金髪を肩まで伸ばし、左にワンポイントのように髪留めをつけた中本香織(満人とこなた曰く、「タレ目がポイント」らしい)はつまらなさそうに答える。
「圭さんって中学の頃ひどく荒れてたんだろ」
圭さんというのは中本香織のお隣さんの沖津圭のことで、香織の幼なじみであり、香織の一つ上の姉、中本笑華の彼氏で、同じ高校の先輩(LJ学園高等部三年A組)でもある。
中学の頃は今のクラスメートである師堂将士とつるんで放課後によく暴力トラブル(いわゆるケンカ)をしていたらしい。将士も圭もケンカはめっぽう強く、その頃の圭には幼なじみの香織や笑華でさえ話しづらかったという。
「そうね。あの頃は手がつけられなかったよ。絆創膏が顔に無い日はなかったかな」
「でもさ、今は全然そんなことないだろ?何でも昼休みに勝手に家庭科室使って将士さんとプリン作ってるって言うし」
「何よソレ誰から聞いたの」
「えみか」
「あ、そ…。で、今荒れてないのがどうかしたの?」
「何かきっかけがあったのかなって。そんな簡単に変われるモンなのかなそこまで荒れてたのに」
「ああ…ま、ちょっと長くなるけど、私が圭兄から聞いた話だと…」



「………っ」
どこだここは。白い天井に白いシーツ。白い…包帯?
病院…?
「おう目覚めたかクソバカ」
「……修か」
沖津修は沖津圭の三つ上の兄だ。限りなく黒に近い紺の髪を肩より長く伸ばしている。
「何でここに?」
「見舞い客に言う台詞じゃねーな。調子乗ってるから事故になんか遭うんだ」
「事故…あぁ…俺そういやはねられたんだっけか…全身痛ェや」
黄色く光る瞳に自嘲の色を浮かべ、茶色い短髪をなんとなしに触る。
「つっ」
頭にも包帯が。鋭痛が走る。
「まぁ命に別状はねェってよ。親はいねェんだしウチは火の車なんだぞ。こういうのはこれきりにしてほしいモンだ」
沖津家の親は圭が産まれた直後、「圭が産まれた記念旅行」と称して出ていったきり15年以上帰ってこない。毎月いらん物ばかり仕送りしてくるので死んではいないようだが。
「ああ」
「じゃ俺は帰る。笑華とか香織も多分ちょくちょく来ると思う」
「へいへい」
修は病室から出ていく。
窓から外を何となく見ていると、後ろから声がした。
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