LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜二人きりで遊びに行こう〜
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17歳高校二年生の中本笑華は遊園地の入り口の正面に立っていた。
(…よし)
びっちりお洒落をしている。最近覚えた化粧はまだ下手なので控えたが、服装は非常に凝っていた。まぁ、こういうのは詳しく書くのは作者には向いていないので読者の方々にお任せするが。
枝毛一つ無いさらさらの金髪は膝の裏まで伸びている。かなり長い。紫とピンクの中間色の瞳に整った顔立ち。髪型と瞳の色と胸の大きさを除けば一つ下の妹である中本香織と瓜二つの美少女だ。無論性格も違うが。
さて、今日は一つ上の先輩であり幼なじみでもある笑華の彼氏、沖津圭と二人でデートである。笑華はこの日を心待ちにしていた。沖津家、中本家共に両親は家におらず、何かと忙しい上お金が無く、遊園地に遊びに行くなど夢のまた夢だった。
しかし香織がスーパーのくじ引きで遊園地のペアチケットを引き当てた。日が決まっていたため、香織は
「あぁこの日満人の演劇部の公演観に行くんだ。えみか、圭兄と行けば?」
と譲ってくれた。
(…よしっ)
準備は万端だ。二人きりだ。そう、「二人きり」なのだ。
『…我が主』
「………」
邪魔者がいた。
笑華はひょんなことから体の中に『闇』を潜ませているのだ。何故かカレーを食べることによって、それから24時間笑華は『闇』を自由に使役できる。
この『闇』がまた便利な代物で、不可視状態になったり『闇』自体で攻撃したり、変身すらできる。
しかし困ったことに笑華の力は「カレーを食べてから24時間『闇』を自由に使役できる」ということで、カレーを食べるとヘドがでるほどカレー嫌いの笑華としては普段は能力を解除している状態だ。笑華の中に潜んでいるとは言え『闇』の行動の自由は保障されている。喋ることもできるし『闇』自身の変身で人間に擬態もできる。そして『闇』は男であるらしく、変身は基本的に青年になる。姿形は自由らしいが、何故か青年なのだ。『闇』が『闇』であること隠すための人間擬態だが、そのときにつけた呼び名「河野貴明」が定着してしまい、笑華は『闇』をその名で呼ぶ。
「…何ですか貴明君」
『これは「でぇと」というものか』
「それが?」
『我も…』
「貴明君」
『何だ』
「勝手に出てきたり喋ったりしたら…判ってますね?」
『…理解した』
貴明は笑華のクラスメートの間桐愛佳にベタ惚れなのだ。貴明はその話を出されると弱い。
何はともあれ、邪魔者はいなくなった。「二人きり」のデートの始まりだ。
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