LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜仔猫の暴走〜
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「…おっきい兄さん」
「あ?ああ空か。何か用か?」
リビングでちまちまと酒を飲んでいる沖津修に沖津空は控えめに言う。
「お前…あんま寄るな」
空は生まれつき猫に変身する能力がある。人間の状態であるときは猫アレルギーの修にも何も問題ないが、今回は違った。
「耳が…耳が引っ込まなくなっちゃいましたぁ…」
「ええい寄るなってんだ!ジンマシン出てくんだろうが!」
耳が出っぱなしだった。



「うわあぁぁん!こんなんじゃ私お嫁に行けないです!信夫さんにも嫌われちゃいますぅ!」
「いや…まぁその…それはそれでなかなか…」
空は古賀満人の弟、信夫にゾッコン片想い中なのである。六歳のくせに化粧までしようと考えたこともあるくらいだ。笑華に教えてもらおうとしたが、いろいろあって未だしたことはないが。
「耳が引っ込んでくれないと…うっ…うっ…ひっく」
「あーあー泣くな泣くな。何とかなるって」
「今までこんなことなかったんです…どうしたらいいんでしょう…」
「って言われてもな…」
「ただいま〜」
と、沖津圭が学校から帰ってきた。
「ちっちゃい兄さぁん!どうしましょう!」
「あ?おぉ空、なかなかイカすナリしてんじゃねーか」
「駄目ですそんなこと言ってんじゃないです!引っ込ませるためにどうしたらいいのか教えて下さい!」
「俺が知るかよ」
当然だ。元々圭が詳しい能力でもないし、研究していたわけでもない。
「圭、お帰り。お前あのワケの判らんオタク霊能者と連絡とれねェか」
「クサンチッペのことか?ヤだよあれキモいし会いたくない」
クサンチッペとは圭の内に眠っている能力を勝手に引き出した霊能者だ。本名・年齢は不詳。クサンチッペは圭の発火能力、瞬間移動能力、結界能力を引き出したほか、笑華の闇使役能力や空の地形変化も彼が引き出したものだ。
「今はンな事言ってらんねーんだ。空の耳が出っぱなしじゃ俺も困るんだよ」
「しゃァねェな…判ったよ」
圭は能力を行使、クサンチッペを瞬間移動で家に呼び寄せる。
「うぉ!?何だ!?おお沖津圭じゃないか。お前が呼んだのか。何か用か?コミケのネーム描いてる途中なんだが」
「アレ、見てくれ」
圭は空を指さしながら言う。
「お、沖津空か。久しいな。猫耳とはかなりハイセンスだな」
「引っ込まなくなっちゃったんです…どうしたら引っ込みますか…?」
「簡単だ。それはおそらくストレスが原因だろう」
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