裏・俺の戯言

□裏LIGHT JOKER〜恐怖!怪談大会〜
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沖津圭、修、空に中本笑華、亞花里、香織、そして小龍は沖津家の居間にて食卓を囲んでいた。部屋は真っ暗で、何故か真ん中に蝋燭が立てられている。ぼやーっとした灯りが不気味さを際だたせていた。
圭が口を開く。
「じゃあ、始めるぞ。第一回、『聞いただけで失禁!?恐怖の超怪談大会』を開催する」
真夏の夜にうってつけのイベントだが、約一名、明らかに乗り気でない。既にリットル単位の冷や汗が出ている感じだ。
「…………」

「フォントサイズ七で無言を貫くのはよせ、亞花里」
「い、いいや、苦手かそうでないかと問われれば明らかに苦手だけど、そんなんじゃオレは前に進めないわ!つ、つ、慎んで参加させてもらうわひょっ」
冷や汗をだらだら流しながら語る亞花里。
「ずっと"七"で喋るつもりか……。つか、噛んでるシ。しかし意外だな、亞花里が怖い話苦手だとは。表の三十九気絶目でシャオに怖い話仕込んだのって、お前だろ?」
「あんなの怖くも何ともないわよ……ただの笑い話」
「あれが笑い話なのか……」
「あ、あの、そろそろ始めませんか?」
笑華が本来のルートに戻した。一同は思い出したような表情をする。亞花里だけは残念そうだ。うやむやにして終わらせるつもりだったらしい。
香織が手を挙げて言う。
「じゃ、私からいくねー。皆さ、あー、亞花里は学校違うけど、LJ学園の七不思議って知ってる?」
「おう」
「はい。七つ全て知ると死んでしまうんでしたっけ」
「え、そうなのか?俺それ三十個ぐらい知ってるぞ」
「無関係な人を三人ほど巻き込んで死にそうですね」
「まーまーストップ。問題はそこなんだよ」
香織は食卓に身を乗り出し、声を低くして話し始める。
「何で七不思議なのにそんなにたくさんあるのか?それはね、『七不思議』は『七つ聞いたらもうアンタヤバいよ的な不思議』って意味だからなの」
「………………」

「そう、七つ聞いたら死ぬ。だったら、それを越えたら?もっととんでもないことが起きるに違いないよね。三十個なんて知っちゃったら、それこそ本当に目も当てられない惨劇が……」
一同はゴクリと生唾を飲み込む。
「しかも、七不思議は今も増え続けてるって話だよ。七不思議を知りすぎてえらいことになった生徒の亡霊や生き霊が、そのまま新しい七不思議になるの。LJ学園の生徒で、七不思議を六つ以下しか知らない人はいないらしいよ。そして、ある日にLJ学園は死体の山と化すって言われてるんだって」
「ある日とは?」
「一九九九年七の月」
『過ぎてるー!!』
小龍と亞花里を除く全員が突っ込んだ。
「しかもノストラダムス!」
「ひぃやぁぁぁぁああああ!!」

亞花里が悲鳴をあげた。香織の話は最後に笑うべきオチがあったのに、何故か怖かったらしい。
「え、何どういうことじゃあ今ここにいるアンタらは皆死んでんのコレいやあああオレ亡霊と話してたなんてあり得ないわいやあああああ僕私オレワシ某ワタクシ我が輩……!!」
「オイ、意味不明に一人称並べんのやめろ。つか、サイズ七もいい加減ウザいぞ」
亞花里は聞いていない。我だの俺様だのと一人称の羅列を続けている。
「もういいか。次行こう」
小龍が手を挙げた。
「お、シャオ。よし、話してみろよ」
「……」
小龍はこくりと頷いた。
「あるあついなつのひ、」
「ストーップストップストップ!それ怖くねェから!!」
「頼むからやめてくれ!」
「……気持ち悪いです」
「えっと……?圭兄、修兄、空ちゃんまでどうしたの?」
「さあ……あら?なになに……『判らなければ表の三十九気絶目参照』……ですって。どうします?」
「見てこよう。ちょっとゴタゴタしてるし、帰ってきたらいい時間でしょ」
「そうですね」



「さて、次ァ誰がいく?」
結局小龍は話さなかった。笑華と香織は三十九気絶目を読んで少し顔を青くしていた。
「じゃあ、私が」
笑華が手を挙げた。
「よし。レッツスタートだ」
「はい。ええと、これもLJ学園の話ですが、第一校舎の二階に家庭科室がありますよね」
「うん」
「あそこには包丁入れがあるんですが、包丁は家庭科準備室の棚に厳重に保管されています。それが何故だか判りますか?」
「危ないからじゃねェのか?」
「簡単に言えばその通りです。ですが、危険の質が……少し変わってるんですよ。単純に悪ふざけで指を切ってしまうとか、そういう類のものではないんです」
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