裏・俺の戯言

□半裏LIGHT JOKER〜圭子ちゃんの変なお悩み〜
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男女反転二日目の夜。何とか風呂にも入り、自室で布団を広げてその上であぐらをかき腕を組んで悩む圭子。
「……戻らんな……」
ただ待っているだけではダメらしい。それとも時間が必要なのか。
「全く判らん。どうしたモンか……」
最悪、元に戻れなかったらどうするべきなのだろうか。死ぬまでこの世界で生きていかなければならないのか。
「いや……ダメか。一週間とか言ってたからな……」
クロスフォードが不必要な嘘をつく性格とは思えないし、実際若干の変化があるようだ。空がお茶を持ってきた時、圭子の分を忘れていたりした。圭子に関する記憶が消えたりはまだしていないようだが、どうやら影が薄くなってきている。というか、存在が認識されなくなってきている。
「うーん……でも、もしかしたら死ななくても済むかも知れないよな。いや、是非そうしてェんだが」
元に戻れなくても、最悪このままの状態でずっと過ごすのでも構わない。
とにかく、死にたくはない。
「しかしまぁ、俺がこのまま女でいるんだとしたら……男と恋に落ちてエロいこととかするんだろうか」
今の笑華、つまり笑男は男だ。取りあえず男としての目線で見ても笑男はイケメン、カッコいいといえる。背も高いし、性格も笑華そのままで世話好き・しっかり者・温和だし、頭脳も飛び抜けている。運動神経が皆無なのは笑華の時と変わらないが、それでも笑男と付き合いたいと思う女は山ほどいるだろう。
だが、圭子はどうしても笑男を恋愛対象として見られない。というか男として、男をそういう目で見るというのはさすがに……
「……キモいな……」
男は残念だがお断りだ。今日も普通に告白された。正直、引いた。
「……そうだ」
女として、男を相手にしないで済む方法がある。
「俺はレズになろう」
果たして名案なのかどうか。
「しかしアレだな、女って胸チョー柔らけェな……」
少しもんでみる。
「すげー」
だが、変な気分にはならない。
「んー……でもせっかく女になったんだし、いっぺんやってみるか……」



「なんか……終わった後の喪失感っつーか、憂鬱感ってのは、半端じゃねェな」
思ったより、体力も消費した。予想はしていたが、予想以上だ。
「……でもすげェ気持ちよかった……。女ってすげェ……」



「……!」
圭子はあることに気付いてしまった。自分が男だった頃のサイズが平均以上だったのかは知らない(まず、他人と比べる機会がない)が、笑華の胸は無に等しいサイズだった。
「てことは、アイツのアレは……超ちっちぇーんじゃ……」
どうでもいい。
「……まぁどうでもいいけどな」
小さかろうが大きかろうが自分には関係ない。
「ん、あれ……あ、もしかしてアイツのが俺に……いや、考えないようにしよう」
だったら、小さい方が楽ではあるだろうが、大きい方が手応えはありそうだ。
「…………もういい、寝よう」
布団をがばっと被る。枕に顎を乗せて、電気がまだついていることに気付いた。
「あーもう」
起きあがって座ったまま手を伸ばす。
ヒモに微妙に届かない。
「何でこの世界の俺は俺が届く位置まで伸ばしてねェんだよ……」
膝立ちでヒモを引っ張り電気を消す。
再び布団を被り、枕に顎を乗せる。
「……ん、うつ伏せっていいのかね……」
ちょっと違和感があると思ったら、自分で胸を押しつぶしている。
「あんまり長居するつもりもねェし、一回このまま寝てみよう」
滅多にない経験だ。いろいろ試して楽しんでもバチは当たらないだろう。
「……へへ、笑華だったらうつ伏せでも何も違和感ねェんだろうな、くくく……」
一人で押し殺した笑いを漏らす。



しばらく経つが、寝付けない。胸の違和感のせいだ。
「……やっぱ仰向けで寝るか」
女でいる、というだけで随分疲れるのに、先ほどのあの行為で疲労はかなり蓄積している。疲れがとれないまま明日を迎えるのは色々辛い。
布団の中で体を百八十度反転させて仰向けになる。
「ふー、こりゃ落ち着くぜ」
昨日も仰向けだったし、やはりその方が寝やすい。
「……でもなァ、女は皆仰向けなんて聞いたことないしな……やっぱ急に胸でかくなったら違和感もでけェのか」
やはり、女という生き物はよく判らない。
「この分だと、アイツも男の体に四苦八苦してんだろうな……」
仰向けになった途端、急に眠気が襲ってきた。
「……起きたら戻ってると……嬉しいんだがなぁ……」
女になった時も、起きたらいつの間にかだった。
無駄かと考えながら、圭子は僅かな望みに思いを馳せて眠りにつく。





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