続々・LIGHT JOKER

□LIGHT JOKER〜「救う」闘い〜
1ページ/8ページ

えーっと、五十九か。よくこんなに続いたなコレ……。あ、俺の名前は古賀満人。学校が舞台にならないと出番がないのなんのって。
じゃ、五十九気絶目、しまっていこー!



「はぁ……はぁ……」
空は一人寂しく砂漠を歩く。アテなどないが、何もしないよりは気も紛れる。
だが、暑い。黒い服を着ているので熱を持ってきているし、空はもともと暑さや寒さなどの極端な温度条件下ではまともに歩くことすら難しい。
長袖であったことは幸いだ。日光を直接浴びる面積が減り、肌を焼かれずにすむ。
「……はぁ……、もう……限界……」
空はその場に倒れ込み、気を失ってしまった。すぐに無意識に猫に変身する。
そしてそこに立っているのは、夕だ。
「あっついにゃ……エミチーのオヤジもだりィことしてくれるにゃ。まぁいいにゃ……空っちをとにかく涼しい所に……。猫的ワー……ん?」
夕が妙な気配に気付いた。



愛佳は事情を手短に、かいつまんで説明した。
「ふぅむ。なかもっちゃんが生きていたとはな……」
「あらあら、挨拶しなきゃいけないわね」
貫太郎もだが、千草もかなりマイペースだ。のんきなことを言っている。愛佳はため息をついて、貫太郎に訊いた。
「帰って加勢したいの。日本はどっち?」
「待て待てまっちん」
「まっちん言うな」
「私を連れてエジプトの砂漠に行ってくれ」
「何でよ。ここモンゴルなんでしょ?エジプトとか真逆じゃない」
「あらあら」
「いいのだ。エジプトだ」
「何がいいのよ」
『チッ、おっさん』
「何だ鎌」
『チッ、気配察知ができるのか?』
「上手くはないが、ある程度な」
『チッ……。愛佳、おっさんの言う通りにしろ』
「はぁ?何で?」
『チッ、拾ってかなきゃなんねー奴がいる。あのチビ猫だ』
「猫って……空ちゃん?夕?」



というわけで、愛佳は貫太郎と千草を担いで移動していた。貫太郎の勘は非常に良く当たるので千草は信じきっていたが、愛佳はまだ半信半疑、というか九割くらい疑っている。
だがリヴァンドレも貫太郎に従えと言うし、気配の察知ができない愛佳としては何も言うことができなかった。
実際の所は貫太郎は気配察知はできない。だが、血を分けた娘や息子の位置ならば離れていても大雑把に掴むことができる。勘で。
「まだかしら……」
「モンゴルから走っているのだ。そう簡単には……」
「あらあら、大きな砂場」
『チッ、砂漠だな』
「何?鬼的速さだなまっちん!」
「まっちん言うな。砂漠に入るの?ヤだなぁ……」
仕方なく砂漠に突っ込み、砂に足を取られながら(それでも視認できない程度の速さは保っているが)どんどん進む愛佳。
少し走ると、何やら黒い点が見えた。
「おぉ、夕だ」
「ホントにいた……」
夕もこちらに気付いたらしい。
「おーい、まっちーん!」
愛佳を呼びながら手を振っている。
この親子は一体どんな動体視力を持っているのか。普通なら残像すら見えないはずだ。
「まっちん言うなー!」
ザザザザザザザ、と滑って愛佳は夕の側で停止。横で寝ている黒猫に気付く。
「ん?空ちゃんこんなところで寝ちゃダメじゃん」
「ぎゃーっ!!まっちん一体何持ってきてんだにゃー!いらんモン連れて来んにゃー!!」
「いらんモンとは何だこらー!私もなかもっちゃん騒動に加わって色々と事をややこしくしたいのDA!」
「いらんモンじゃにゃいかーっ!」
「あらあら、仲良しねぇ」
どうでもいいことだが、千草は何故汗一つかいていないのだろうかと愛佳が思考を巡らせていると、夕が急に愛佳に声をかけた。
「まっちん」
「………………」
まっちんと呼ぶな、と何度言えば判るのか。愛佳はこれから夕が愛佳をまっちんと呼んだ時はもう返事をしないと決めた。
「何で俺様の居場所が判ったんにゃ?」
マイペースなのは貫太郎譲りか。空の落ち着きはおそらく千草譲りだろう。返事がなくても話したいことを話してしまうのなら、無視は意味を成さない。愛佳はやれやれという感じで呆れたため息をついた。
「おっさんがね。アンタがここにいるって言ったから」
「むむ。たまには役に立つにゃ親父も。よし、皆捕まるにゃ。日本に帰るにゃ」
夕は黒猫と化した空を抱き、愛佳、千草、貫太郎もそれぞれ夕に捕まった。
「猫的ワープ!!」
愛佳と夕が各々自力で日本に向かった方が早かったという事実には、突っ込んだら負けだ。



「楽しい敵だな!!なかなか手応えがあるぞ!」
「光栄だよクソ野郎!!」
数々の闘いで相手の攻撃を勘で察することができるようになっていた圭は、魔眼・霊眼と対等以上に渡り合っていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ